警察であれヤクザであれ知らない人にはご用心 ページ6
「それで、あんた名前は?」
辺りが暗くなる中、端整な無表情が小さな欠伸をしながら私の名前を訊いてきた。
「えと、Aです。」
「A、そんじゃァとりあえず着いてきてくだせェ、近くに車停めてるんで。」
私の名前を呼ぶなりすぐさま背を向けて歩き始めた。
寝て起きたばかりだろうにまだ気だるげな雰囲気を醸し出す。
そして私は彼の背中について行きながらも徐々に不安と疑念が募っていった。
(こんな気軽にホイホイついて行って大丈夫かな....知らない男の人にはついて行くなってよく言うし....
...もしかしてあの銀髪の人との協力プレイで誘拐とか人身売買とか?!!)
一度疑うと周りのもの全てが不審に思えて、完全に疑心暗鬼状態になってしまった。
(てゆうか、そもそも!!こんな格好した人が警察官だなんて.....信じる方がバカでしょ。)
冷静に考えれば考えるほど今立たされている状況はそう簡単に納得がいくものでは無くなっていく。
思索している内に青年は立ち止まっていた。
どうやら誰かと合流したらしくひじかたさんと呼んで彼の目の前にもう一人男の人が現れた。
青年と同じ黒いスタイリッシュな服装に身を包んだ姿はまるでモデルのようにキマっていて、
前髪を額の真ん中に寄せた艶やかな黒髪と鋭い目をしたこれまた美形な成人男性だった。
そして片手には煙草を持っていた。
(あ、これ、ヤバいかも...)
何がヤバいって、そんな男の人の顔はとても威圧的で萎縮してしまうほどで、さらに腰には刀を下げている。
とんだ個性的なヤクザに誘拐される気分だ。
「ったく、Aって言ったか?お前、子供じゃあるめェし、迷子って...まあいい。住所と電話番号。...どうした?まさか、忘れたのか?」
V字前髪の男の人は青年から事情を聞けばすぐさま私の方へ歩み寄り、質問でまくし立ててきた。
「....あの、家、思い出しました。この場所覚えてます。」
私は躊躇うような小声で答えた。
「ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。帰ります。」
あっけらかんとした目で私を見つめる二人。
同じように釈然と
「そうか、そりゃ良かった。気をつけて帰れよ。」
随分と男前な声でそんな言葉だけ残され、
私はその場から逃げるように踵を返して歩き始めた。
ふと後ろを振り返ると、二人は追ってくることも無く姿を消していた。
(ヤクザじゃ、なかったのか...)
ほっと胸を撫で下ろした。
酔っ払いに道理は無効→←逃げるは恥だが逃げるが勝ち、だがやはり恥に変りはない
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のと丸(プロフ) - 雪華さん» わー!鋼錬の小説で、コメントして下さった方ですよね!ありがとうございます!(´∀`*)続編というか、新作ですが;; (2019年7月15日 9時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年7月15日 8時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» 初めまして!コメントありがとうございます!!ご感想とても嬉しく、励みになります!。°(°´∀`°)°。銀魂の小説は初めてなので至らないところがあるかもしれませんが、今後とも楽しんで下さい(´▽`*) (2019年7月13日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです!とても面白いです!この作品が大好きです。更新頑張ってください! (2019年7月13日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月10日 22時