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第五十七幕 旧鼠の牙と対峙する ページ11

「ハッ、まさかな…」

旧鼠は顔が赤く腫れた足元の娘を睨む。
試しに髪を引っ張り上げてみるも、気を失って微動だにしない。
攻撃を仕掛ける様子もなかった。

今の炎はこの娘が出したものなのか。


(いや…それはねぇな。)

先程の炎には微かに妖気も感じられた。
妖怪の仕業であることは明白だが、Aからは妖気の一欠片も感じられなければ、どこからどう見ても人間である。

旧鼠は第三者の仕業であると疑った。

辺りを見回すも猫一匹とて怪しい者はいなかった。


「おい、お前ら。
早くこの娘どもを運べ。
手は絶対にだすなよ…。」

「旧鼠様!?そいつは食べても…「うっせーな」」

「オレの言うことが聞けねぇのか…?」

威圧的な一言をかければ、手下たちは萎縮して何も話せなくなる。
命令に従い、急いで三人を担いだ。

旧鼠は見えない敵に警戒をしながら、その場を離れた。

そして、その様子をビルの屋上から眺める女の妖がいた。

女は掌に浮遊する火の玉を弄び、般若の仮面を数センチ上にずらす。

熟れた果実のように赤く、艶やかな唇が細く横に引かれた。

「…殺させやしない。」

「だって、あなたは私の大切な……。」

女の声は夜風に遮られ、その呟きは誰にも届くことはなかった。

・・・

「ん…」

「あ、ゆらちゃん起きた?」

ゆらが目を覚ますと、頭上からAの声がしたのでそちらに顔を向ける。

Aの左頬は赤く腫れており、下唇に擦り傷のような怪我もある。
ゆらは顔を真っ青にして、冷や汗を一つかいた。
だが、彼女の肩に手をおきAは言う。

「ゆらちゃんのせいじゃない。
これは、私が生意気な態度をとった代償だから。」

ゆらは言葉を失った。

続いてカナも上半身を起こす。
三人は巨大な檻の中に閉じ込められていた。
目の前には煌びやかな玉座に座る旧鼠もいた。


「よう、陰陽少女。
一足先にそこの女が起きていたよ。
どうだ?ネオンの光の中…処刑される気分は…?」

「しょ、処刑?」

「そうだ…あの三代目のガキが約束を破ったからな」

三代目という単語が出てもゆらには理解ができない。
Aは旧鼠の発言を聞いて少し考えていた。

「旧鼠!アホなことはやめるんや!!
ええかげんにしい!!」

旧鼠の呼んだことが癇に障ったのか、部下の一人が爪を出し、ゆらをめがけて振り下ろされる。

しかし、それもAが咄嗟に前腕を出して何とか免れる。
代わりに彼女の右前腕は爪で引っ掻かれた跡がのこっている。

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桃子(プロフ) - めっちゃ面白くて好きです!!忙しいと思いますが更新頑張ってください! (2021年5月15日 22時) (レス) id: f758fcdb57 (このIDを非表示/違反報告)
氷麗 - とっても面白いです!色々忙がしいと思いますが、更新頑張って下さい!p(^-^)q (2020年8月6日 10時) (レス) id: 0b4aa008b9 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー(プロフ) - みいらさん» コメントありがとうございます!とても励みになります( ;∀;)ノロマ更新ですが気長にお待ちいただければ幸いです。今日の夜に更新しますね! (2020年6月23日 12時) (レス) id: a8c312a3ba (このIDを非表示/違反報告)
みいら(プロフ) - とっっても面白いです!更新頑張って下さい!! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月28日 19時

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