【ゴーストハント】人生2周目な私の行く先は【GH】 (ページ20)

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～File1～旧校舎怪談19 ページ20

「…あいつ、ああいう奴なのよ」

ミチルがひそひそと言う

「黒田女史も内進組だよね。中学の頃からああなの？」

「そ。中等部の頃から有名だったんだよね。神懸かってて危ないって。霊感があるとか言って、これはするなとか、こうしろとか、煩くってさ」

「『へえ…』」

「また、そこがすごいって言って集まってる取り巻きグループもいたけど。でも、それもだんだん数が減っちゃったよね」

ミチルが呟くように言うと、恵子は頷く

「あたしも、一、二年の頃は、すごいって思ってたクチなんだけど…」

言って、恵子はさらに声をひそめる

「結局さあ、好きなんだよね。あの頃って、そういうのが。…いや、今でも好きではあるんだけど、やっぱさ、怪談して数をかぞえても、本気で信じてはいないわけじゃん」

恵子の言に、まあそらそーだわな、と思う
だって皆信じてたら怖がって出来ないだろうし

「信じてないのになぜやるんだと問われると、我が事ながら不思議で答えに窮するんだけどさ。―なんだけど、中学生ぐらいまでって結構本気なんだよね。無邪気っていうか、幽霊は絶対にいるはずで、自分には見えないけど、霊能者だったら見えるんだ、そういうすごい人だっているはずだって」

「ああ、分かる」

「でも、そういうのって、だんだん信じられなくなっちゃうじゃない…いいことなのかどうか分かんないけどさ。だからだと思うよ、取り巻きが減っちゃったの」

ミチルも、そうだねえ、と溜息交じりに言う

「一人でぽつんとしてるの、よく見かけるようになったもんな。声をかけようと思うこともあるんだけど、結局あいつ、そういうことしか言わないからさあ。やっぱ、楽しく男の子の噂話してるときに、いきなりあそこに変なものがいる、とか言われると盛り下がっちゃうじゃない」

『そりゃそうだ…』

私は黒田女史を振り返った。麻衣も同様に黒田女史を見ている

朝礼前の喧噪の中、背筋を伸ばして教科書を睨みつけている。まるで周囲を遮断しているみたいだ

「でも、珍しいよね。彼女が自分から誰かに紹介してくれ、なんて」

祐梨が言うと、ミチルも頷く

「確かに。何なんだろーね、唐突に。まさかあいつも渋谷先輩に一目惚れ、とか」

「えーっっ！」

恵子がすっとんきょうな声を上げた
いや、そりゃないだろ、あったら怖いわ…

同時に女史が私達の方を睨んでくる

「そこ！いつまで騒いでるの。迷惑よ」

ピシャリと言われ、私達は顔を見合わせた