伝える ページ15
「…暑い、わね…。」
「あら?もう終わりかしら?」
壁によりかかって息を整える。
私が得意なのは炎の術だけど…暑さには耐えられないわね。
レイダーテが床を蹴ると、ふわっと浮いて、こっちまで来た。
「あなた、気づいていない?そこに落ちてたあなたの鍵、なくなってたわよ。」
鍵…?
宿のマスターキーのことかしら…。
それならポケットに…。
ない…!?
ど、どうして…!!
「よく思い出して?私の施したトリックは何かしら?」
レイダーテが施したトリック…?
トランプのことかしら…。
トランプね…。
なぜか知らないけどエリスがやったことと人形が連動してて…。
まるで、そこにエリスがいるかのような…。
ん、待って…エリスが、そこにいる…?
…!!
わかったわ…。
「鍵を拾ったのは、反対側の部屋にいるエリスなのね…。」
「正解よ。でも気づかなかったわね?それはあなたも同じ。私の水柱に溺れるか、あなたの炎で焼かれるかで彼が死んでいるかもしれないわ。」
…!!
「それを知った上で私と…!?」
「そうよ、ふふ、あなたが騙されたのが悪いんだから。」
な…!!
「どういうことよ…。」
また、これ…。
その時。
ドンッ
え…。
私の後ろから、何か衝撃が…?
これは、まさかエリスが…!?
衝撃が伝わるくらい薄い壁…なら、こちらからも攻撃すれば…?
「さ、向こうがこの仕組みに気づかないうちにあなたを殺さなくちゃ。」
あれは、岩の術…!!
避ける…!!
レイダーテの岩の術は壁にめり込んでひびを生んだ。
いけるわ…!!
「な、にっ…!?」
「はぁっ!」
燭台の炎は蝶の術だから私にでも操れる。
炎を指で取って、ひびに衝撃を加える。
割れる…!!
「きゃあっ!」
壁が割れて支えがなくなった。
そのままなだれこむようにして向こうに着いた。
「な、なんだ…!?」
エリスの声…!!
「何してんだ…A。ほら、手貸せよ。」
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作者名:円香 | 作成日時:2018年8月7日 16時