厳選厨が通ります５【ポケモン】

不穏な空気 ページ5

近くにあったトーナメント表に目を移せば、今回の参加者の名前がずらりと載っている。私とヒュウはAブロック、チェレンさんはBブロックだ。


「…あった！チェレンさんの名前！！対戦相手は……」


隣で見ていたヒュウも、嬉しそうに名前を見つけていたが対戦相手を見た瞬間に言葉を詰まらせる。
再び口を開こうとしたその時、とある青年がこちらへ歩み寄ってきた


「おやおや、こんな所で出会うとは……」



「てめぇ…！！アクロマ！！！」

『……』


忘れたくても、忘れられないキャラクター。プラズマ団の科学者アクロマ。本来ならば、このPWTで初めて顔を合わせるはずだったが……どういう訳かこだいのしろで運悪く出会したのだ

彼と視線がかち合った途端、ヒュウは目つきを鋭くさせる。私も警戒しつつ相手の様子を伺っていた


「…君達の知り合いかい？」

「こいつ！プラズマ団ですよ！！」

「本当か…！？でもプラズマ団は、2年前に解散したって……」

「表向きは……ですね。伝説のポケモンを従え世界征服を目論んでいたみたいですが…その計画は失敗に終わった。

その後の2年間は、誰にも悟られないよう息を潜めていたそうです。まあ、私の加入はつい最近の事ですので……詳しくは知りませんがね」

そもそも、こいつにゲーチスへの忠誠心は無い。研究が捗るよう材料と機材、資金を提供して貰う代わりにプラズマ団と関わっているだけだ。アクロマ単体であればそこまで警戒しなくても……いいと思う…が……

でも、油断は禁物だ。目を離した隙に何かされたらたまったもんじゃない


『……今回は何が目的？』

「………いえ、特には。私だってポケモントレーナーですから。バトルを楽しみに来ただけ……何の問題も無いでしょう？」

『うさんくさ。なら…アンタの化けの皮、今ここで剥がしてもいいんだけど？』


ピリ、と刺すような空気が流れる。純粋にバトル大会に参加しているトレーナーとは明らかに雰囲気が違う。喧嘩でも始まるのか…と近くにいた参加者達が息を呑んで見守っている。こんな事に巻き込んで申し訳ないが、今ここで釘を指しておかねば


「………まあいいでしょう。貴方のことでしょうから、この先もきっと勝ち上がってくる。決勝戦、楽しみにしていますよ」


にっこりと。笑っているように見えるが、相変わらず感情の読めない奴だ。革靴を鳴らし控室を出ていくのを目で追っていた

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