厳選厨が通ります５【ポケモン】

懺悔 ページ39

「…ワタクシは！！！プラズマ団を作り上げた完全な支配者だぞ…！？一度ならず二度までも無名なトレーナーごときに…！！認めるか…！！ありえるかっっ……！！！」

『……』


ボールすらも投げ捨てて蹲る。何度も拳で地を叩いていた。うっすらと血が滲み出ている


「愚かでしょう…？貴方に負けても尚、ワタクシは諦めていないのですよ…！！」

『………愚かだなんて思ってない。

ただ、悲しいな…って』


もっと、普通にバトルがしたかった。これだけの情熱をもっと別の事に注げたのなら…
ポケモントレーナーとして、普通にゲーチスと会えたなら……なんて。

今は怒ってるというより、アンタに同情するよ。


「……見るな、そんな哀れむような目で！！ワタクシを！！見るな！！！」

急に立ち上がったかと思えば、両手で私の首元を掴む。咄嗟の事で反応が遅れてしまった

けれど、苦しくは無かった。ゲーチスの手がすぐに離れたからだ。くたり、と腕が下がりそのまま力無く倒れていく様子を呆然とみつめる


気づけば私の隣には、アクロマのオーベムがいた。きっと"さいみんじゅつ"をかけたのだろう


『…アクロマ？』

「…………」


なんで私を助けたのか聞くより早く、アクロマが口を開く



「………思いっきり貴方と戦って。本気でぶつかり合って、分かったことがあります。

…絆の力が、科学を上回った。ワタクシは……結果を急ぎ過ぎたのかもしれませんね。もっとポケモンと向き合うべきでした。もう遅いですが」



ワタクシは自首します。プラズマ団のアジトも計画も洗いざらい話すつもりですよ。
そう言い残し、到着した国際警察の集団へと歩いていく。その背中が少し寂しそうに見えた…

…確かにアクロマも悪いことをした。だけど、ポケモンを強くしたい気持ちは一緒だった。彼はただ……やり方を間違えただけ。


『……あの、アクロマ！』


名前を呼ばれ、ゆっくりとこちらを振り返る




『…………またバトルしよう！今度はポケモントレーナーとして！』

「……！」


今までのことを許した訳じゃない。だけど、改心出来たのなら……まだ彼は、やり直せると思う。



アクロマは何も言わなかった。

でも、こちらを見て優しく微笑んでは……
小さく、手を振ってくれた。

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