厳選厨が通ります５【ポケモン】

嵐の前の静けさ ページ16

静かなエントランスに取り残された私達。重苦しい空気が漂い、互いに顔を見合わせる。

けれど少し経って、ヤーコンさんが私に話しかけた。


「……お前さんは、どうする？」


『…………行きますよ、白の遺跡に。プラズマ団の計画を止めなきゃ…きっとあいつら、レシラムを復活させて操る気なんです』

「操る…？どうやって？」


話そうか迷ったが……アクロマはポケモンを操る電波を開発していること。それを利用してポケモンに実験していること。そして…あいつの研究は全て、レシラムを使役する為のものだということ。全てを打ち明けた

勿論これはアニメを見ていた時の知識だ。半ば妄想のような計画を話して信じて貰えるはず無いと……思っていたけど。


「……なるほどな。それなら今までの奴らの行動も全て辻褄が合う」

「バトルの時、アクロマのポケモン達が変だったのもそのせいか」

「だとしたらやべーな！伝説のポケモンなんか手に入れられたら終わりだぞ」

『…！信じて、くれるんですか？』


3人は当たり前だ、と言わんばかりに微笑む。揺るぎない瞳は真っ直ぐに私を見ていて、相当信頼されているのだと分かった。じんわりと目頭が熱くなるが、今は感動してる場合じゃない


『…何としてでも計画を阻止します。アクロマは私に変に固執してますし……その場に忍び込んで引っ掻き回したら、少しは効くんじゃないかと』

「だったら俺も行くぜ！1人より2人の方があいつらもビビるだろ？」

『確かにそうだけど……ヒュウを巻き込む訳には…』


つい弱気になってしまう。これは生半可な気持ちで連れていって良いものじゃない。プラズマ団のアジトに乗り込んで、万が一ヒュウの身に何かあったら……悪い考えばかり浮かんでしまった

元々、ヒュウはアニポケ軸の人間では無い。イレギュラーな存在だから……何が起こるか分からないのがとても怖い


黙り込んだ私を見て、不意に両肩を掴む。真剣な眼差しが私を捉えていた。そしていつもより低く、だけど芯のある声が聞こえる



「……お前1人だけを、危険な目には合わせない。俺だって強くなったんだ…なぁ頼むよA。俺も行かせてくれ」

『っ……』


ヒュウだって私が心配なんだ。そんな顔で言われたら……断れるはずが無い。今回ばかりは私が折れた


『………分かった、いこう。セッカシティはホドモエシティの先。すぐに準備するよ！！』

「おう！！！」

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