宴の前奏 翼 ページ24
『「大決闘祭」を開催します』
そう見出しのついた新聞は、天狗達の手によって風の如く一瞬で幻想郷中に届いた。前々からセラや幻想郷の強者達によって構想されていたものが、やっと開催にまでこぎつけたのである。自分の力を見せつけるために、純粋に決闘を楽しむために、あるいは好敵手を探すために。様々な策謀が渦巻く決闘の宴を、幻想郷で催すのだ。
形式はトーナメント戦で、Aブロック、Bブロックの二つにグループ分けされ、A、Bブロックそれぞれの勝者が最後に戦って優勝者が決められる。よくある競技形式だ。
かくいうボクは参加する予定がない。戦闘は趣味じゃないし、お世辞にも上手いとは言えないからだ。新聞と共に配達されたエントリーシートは白紙のままゴミ箱へ捨てた。セラは大決闘祭実行委員の一人で、出場どころではないだろう。
―――会場に行って、眺めるだけだな。
縁側に腰掛け、すっかり元通りになった人里を眺めながら緑茶を啜る。
「いやぁ、大決闘祭の実行委員は楽しいけど大変だね。私の超絶美貌のお陰で結構みんな快諾してくれるんだけど、それでも時間はかかるものだ。会場とかいっそ私の能力で作っちゃおうかな。……あ、マイロードの分のエントリーシートは実行委員権限で私がもう出しておいたからね」
「―――はぁぁ!?」
「なんで驚くのさ。参加するつもりだったんじゃないのかい?」
「そんな訳あるか、ばか!自分で言うのも何だがボクだぞ、戦闘下手なボクだぞ!参加したってすぐに負けるに決まってるだろ!余計な事しやがって、ばかぁ!」
「えぇー?でももうエントリーシートは取り消せないよ?それにほら、キミ自身が成長する良いチャンスじゃないか。キミってば戦闘は私頼みで滅多にやらないし、能力も上手く使い熟せなければ魔法道具の出来もまあまあ。良い所なんてほとんど無いだろう?それを克服する契機にするんだ」
「セラのばか、ばかばかばかぁ!なんだよぉ、ボクに嫌がらせしに来てるだろ絶対!ばかぁ!」
「とりあえず『ばか』以外で私を貶す事が出来ないと私は何も感じないかなぁ」
悪戯っぽく笑うセラ。本当に顔だけは良いから、この表情だけで全部許してしまいそうになる。だがここで引いてしまうのはどうもダメな気がした。何か言い返してやろうかと口を開くと、セラは更に爆弾を投下する。
「あ、私も参加するよ?」
「じゃあオマエが勝つだろ!」
こんなチート絶対参加させちゃダメだろ、と実行委員会に不安を覚えた。
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うp主こと東方好き死神まお(別アカ) - さっきさん» ありがとうございます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: d45d880fd4 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新しました!あと、お話がいっぱいなので新しく作っておきます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新しました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他5人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2022年8月6日 9時