禁忌との邂逅 早月 ページ18
「ねぇねぇ、お姉さん」
『白き悪魔』との戦闘の最中、背後に一人の少女が居る事に気付いた。低い身長と幼く可愛らしい顔立ちは誰もが庇護欲を刺激されるだろう。しかし、色が非対称な虚ろな瞳だけは―――どう考えたって、異常だ。
「お姉さん、能力効かないんでしょ?だったら私と…遊ンデヨ」
瞬間、少女がつけていた手袋が弾け飛ぶ。露わになった両手はどういう理屈か、周囲の空気を破壊した―――ように私には見えた。私は咄嗟の判断で、少女の両手の『奇跡』を打ち消す。少女は一瞬キョトンとしたが、「ごめんね、私自身に干渉するのは出来ないんだよ」と言った。
「面倒な能力ね。まあ、断る理由はないわ。『白き悪魔』が厄介そうだけど……虚なら何とかなるわ。で、貴方は私と戦うつもりなんでしょ?」
「うん、そう!殺し合おう!」
「―――あらそう。死なないように善処するわ」
私が言うと同時、少女は一瞬で距離を詰め、右手を掲げて私に触れようとする。私は少女の右手を掴み、足を引っ掛けて地面へと倒す―――が。
―――触れられない⁉
まるで透明人間に触れようとしているかのように、触れようとした手は悉く滑る。干渉できない、とはこういう事か。―――だが、私に対策がない訳ではない。
「ね、言ったでしょ?私には干渉出来ないって」
するりと私の手から逃れた少女は、灰色の猫を抱えながら言う。
―――随分と舐められたものね。
「ええ、驚きね。些事だけど」
「お姉さんめっちゃ強がりだぁ!」
「強がりかどうかの判断はまだ時期尚早よ」
最小限の加速で少女まで距離を詰めた私は『干渉を防ぐ力より少し強い力』を使って、少女の右手を今度こそ掴む。少女が意表を突かれたような表情をし、大外刈りをかけられて地面に倒れこんだ。
「わぁ!今のどんな手品使ったの?」
「大したネタは無いわ。それに、魔法も霊術も使えない私にはこれ以外の強みは無い。貴方は随分実力者みたいだし、これでトントンよ」
「そっか!でもびっくり、私が満月の夜以外に干渉されるなんて初めてだもん。お姉さんとなら良い殺し合いが出来そうだね!」
そうかしらね、と私は相槌を打つ。少女はとたっ、と立ち上がるや否や今度は魔法陣を展開し、地面から真っ黒な血のようなものを生み出す。無論これが何であろうと私は傷付かないのだが―――窒息なぞは避けられない。私は重力より少し強い力で跳躍する。
「ところで貴方の名前、聞き忘れていたわね」
空中で私が放った質問に、少女は弾けるような笑顔で答えた。
「私は禁忌呪!私に壊されないように頑張ってね、お姉さん!」
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うp主こと東方好き死神まお(別アカ) - さっきさん» ありがとうございます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: d45d880fd4 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新しました!あと、お話がいっぱいなので新しく作っておきます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新しました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他5人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2022年8月6日 9時