story272 ページ34
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＿＿『フェイはどんなところに住んでるの？家族やきょうだいは??』
以前、天馬と信助がフェイにそう尋ねていたのを思い出した。フェイはその問いには答えずに、話を変えて誤魔化していたっけ。
今思うと、私たちはフェイのことを何も知らないままだった。
｢フェイ...｣
偶然とはいえ、フェイの過去を結果的に立ち聞きしてしまった天馬は、フェイの気持ちを察したのか、それ以上は何も言わずに申し訳なさそうに立ち去ってしまった。
その場に残った私とフェイの間には沈黙が流れている。フェイは膝を抱えて俯いたままだ。その姿は、まるで幼子のようで。その姿に、昔の自分が重なって見えた。
｢どうして...私には話してくれたの？｣
フェイがそっと顔を上げて、私を見る。
｢君も...僕と同じ、孤独を背負っていたから｣
｢...そっか｣
｢それに、君にはなんとなく...話したいと思ったんだ｣
エメラルドグリーンの瞳が、私を映した。悲しみを浮かべたその瞳は、今まで見てきたフェイのそれとは全く違うものだった。例えば、目を離してしまえばふと消えてしまいそうな。そんな儚さがあった。
｢でも僕は独りでも寂しくなかったんだ。僕には、サッカーがあったから。だから前に進むって決めた｣
｢...フェイのサッカーへの思いは、そんな理由があったんだね。でも...独りは寂しいよ。フェイ｣
私は立ち上がってフェイの前に立った。振り返って、フェイのエメラルドグリーンの瞳をまっすぐ見つめる。
｢私はね、フェイ。ずっとずーっと、寂しかった。誰かと一緒にいても、虚しかったの。独りが大嫌いだった。怖かった。でもね、今は違うの｣
目を閉じると浮かぶのは、雷門のみんなの姿。
｢今は、天馬たちがいる。私には仲間が...友達がいるの。寂しい時も辛い時も、楽しい時や嬉しい時だって、同じ気持ちを一緒に感じてくれる家族にも負けないかけがえのない存在だよ。
いつだってみんなは、私は独りじゃないよって、私はいらない存在じゃないよって教えてくれたの｣
座ったままのフェイの手を取って、引っ張り上げる。引き寄せられるままに立ち上がったフェイの暗い瞳に、微かに光が宿る。
｢フェイも一緒だよ。フェイだって、もう独りぼっちなんかじゃない。私がいる。天馬たちがいる。フェイのこと、大好きだって仲間が、ここにはたくさんいるよ！｣
フェイの目が、大きく見開いた。
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蒼乃(プロフ) - ビジュさん» ビジュさん!!残念至極、最近見つけて読んでいます！夢主ちゃんの心理描写がぐさぐさと刺さって感情移入がすごいです...。最近まで更新停止してしまっていた者ですが、こうして温かいコメントを頂けて嬉しいです。ありがとうございます！お互い頑張りましょうね！ (2月12日 20時) (
レス) id: 8dc0166a3f (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - ルビーさん» コメントありがとうございます！更新を長く停止してしまっていた中、この作品を見つけて読んでくださり嬉しい限りです。今後も更新は不定期の予定ですが、完結までは時間がかかっても書き切りますのでよろしくお願いします...!! (2月12日 19時) (レス) id: 8dc0166a3f (このIDを非表示/違反報告)
ビジュ(プロフ) - コメント失礼します。蒼乃さんの描かれるフェイくんとの絡みが最高です…！丁寧な描写に引き込まれました！体調に気を付けてご自分のペースで頑張って下さい( ꈍᴗꈍ) (2月12日 19時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - こんにちは！続きがすごく楽しみです。更新頑張ってください！ (2月12日 15時) (レス) @page40 id: 0734f30b1c (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 雨宮紫織さん» 更新が不定期続きで更新詐欺のようになってしまい申し訳ございません...。いつも温かな応援をありがとうございます。今後もどうぞよろしくお願いします！更新放棄はしておりません！ｶﾞﾝﾊﾞﾘﾏｽ...!! (2月9日 20時) (レス) id: 8dc0166a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼乃 | 作成日時：2019年7月17日 21時
