対:太宰治異能力者

漆 ページ8

かの有名な太宰治。案外簡単に見つけられたことに対して本物の太宰治かと疑ってしまう。
だが最悪と言われてもこちとら幹部殿の頼みですから



「あのお兄さんの所に行きな」



私がそう云って、太宰治の方に指を向ける。
すると10匹程度の犬達はワンワンと嬉しそうに吠えながら太宰治の方に進んでいく



「ぎゃあああああああああ」



悲痛な叫び声である。たが私は異能を解く訳にはいかないのだ

一見普通の人から見れば、なんだか顔が良い男性の周りにわんちゃんがいるだけなので特に気にもとめていない



其れを見て思わずぷぷっと笑ってしまう。
だが当の太宰治は本気のようでほぼ半泣き状態である




「お願いだから異能を解いてくれ給え ！！！！！」



解くわけないのに。本当に太宰治なのかと心配になる
すると、明らかに聞いたことがあるような声が聞こえた



「元最年少幹部様がこのザマとはな。糞太宰」




わざわざ時間を割いてまで太宰治に厭がらせをした本人。中原幹部である
私こんなん聞いてないぞ。と心の中で怒り気味に呟くが口に出したら多分良くないなと勘が働く

だが最年少幹部とは一体なんなのであろうか…？若しや太宰治は元マフィア幹部…そこまで考えて思考を停止した
多分この先は考えたら良くないことなんだと思う。思わされる



「うっげー。蛞蝓じゃないか。君は紫陽花がお似合いだよ」



なんとか犬達を防ぎながら、溜息をつきながら述べている。
その言葉に幹部はムキッとした表情になった。



「青鯖は青鯖らしく海に帰れよォ」



なんだかよく分からない空間である。こんなん言い合っても時間の無駄ではないか？
そして幹部が此方を向いて、「A、もっとだ！！もっと犬を大宰に仕向けるんだ！！」と云ってきた。

どんだけこの人は厭がらせをしたいんだと呆れつつ流石に断れないので異能力を使うことにした




「異能力＿＿『破れ羽織』」




少々溜息を交えながらそう云った
多分これは永遠と云っても続くんだろうな…。





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