美男と化物 (ページ4)

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「あっ」

ホームルーム前、トイレから帰る途中、
落し物を見つけた。

廊下に落ちていたのは、
私が押しているグループのメンバーの一人の写真だった。

「誰のだろ。
てかこれデビュー当時のやつじゃん。超レアだよ！すごい！ぜひこれを持ってる方とお友達になりたい！」

「あっ！あった！おーい！君！」

「えっ、私？」

1組の教室の前の廊下から私を指して呼んでくる人がいる。

目を細めて見てみると、

なんと、さっきの王子様ではないか。

「あった！これ僕の！」

「…えっ？まじですか？」

「うん」

何たる偶然。

まさかの推しグループが一緒だとは。

「この人、好きなんですか…？」

「うん！」

「あの、実は…私も……」

あぁ、バカ！

なんで私の声ってこんなに小さいの？

相手がキョトンって顔してるじゃん！

「もしかして、君も好き？」

「えっ？」

「この人」

「あっ、はい！めちゃくちゃ好きです！
でも、推しは違います…」

まさかの向こうから振ってきてくれるパターン！

今日どれだけ幸せなの？

「そうなんだ！」

「あ、新曲。決まりましたね！」

「だね！早く聞きたいな～」

「ですね！今回は龍我さんの推しがかっこよさそうなコンセプトですね！
…………あっ。」

どうしよう。

名前聞いてないのに龍我って言っちゃった。

「あ、僕名前聞いてなかったや。でも先に名乗るのが礼儀だよね。
1組の佐藤龍我です。推しは見ての通りこの人！」

「ご、ごめんなさい…。
私は2組の田中Aです。えっと、推しは…」

その後ちょっとだけ推しについて語り合っていた。

「ねぇ。なんで敬語なの？」

「…確かに」

「同級生なんだから敬語やめて！それに龍我さんじゃなくて、呼び捨て！」

「えぇ…」

さすがに急に呼び捨てはハードル高いですって王子…。

「じゃあ、龍我……くん…。」

「なんでくんつけちゃうの！」

「私には呼び捨てなんて無理です…」

「しかも敬語じゃん！」

「あぁ、ごめんなさい！ちが、ごめん…」

「よく出来ました」

微笑んで頭をポンポンしてくれた。

「ひぇっ！」

「あっ、ごめん！つい妹のくせで…」

「あ、いえ。こちらこそ！」

「佐藤！田中！もうホームルーム始まってるぞ！」

「やっば。またね！A！」

「うん、また」

今呼び捨てで呼ばれた…？

神様、これから私に良くないことでも起こるのですか？

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