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これは、と目を丸くした二宮。
「本当にここでアンドロイドを……よくまあ、俺にバレずにここまでのことを」
二宮と柳谷の手には大量のファイルがあった。
本棚から抜き取ってきたらしい。
「どうする、ニノ。これは俺らでも関わっちゃいけないレベルのものだ。これに関わったら俺らは」
どこか怯えたような顔をしている大野を見て、ため息をついた二宮。
「ここまで来たら引くわけにもいかないじゃない。やるからには徹底的にやる」
「でも」
「あのねえ、すでに俺らは巻き込まれてるんすよ。さっさと腹括って覚悟決めなさい」
これ、と一冊のファイルを大野に押し付けた二宮。
「あなたのおじいさんの記録、残ってたよ。あなたのお兄さんの記録もね」
ファイルを受け取った大野は、困惑しながらも二宮を見上げる。
「それって」
「こんなところに記録が残してあるんだもの、スピリットと関係あるに決まってるでしょ。あなたの方がまだ分かるところもあるだろうから確認して」
それと、と三人を振り返った二宮。
「ぼーっと突っ立ってないで、手伝って。ここまで来たらやるしかないよ」
ハッとした櫻井は二宮に駆け寄る。
「奥にコンピュータがあるんだ。サーバーもある」
「え？ 本当？」
手に持っていたファイルに目を落とした二宮。
「私がやりますよ。相葉さんと松本さんと一緒にすれば問題ないかと」
「えっ」
声を漏らした相葉。
「そうだね、じゃあこれは柳谷さんに任せた。相葉さんと潤くんもよろしく」
「待って、俺ら何をすればいいか」
櫻井と一緒に部屋の奥に向かいかけていた二宮はもどかしそうにする。
「情報集めだよ。とにかくスピリットとこの部屋、雹隊のことについて調べて。特に過去の雹隊十五班と、それに関わってる隊員について。今の隊長とか幹部クラスの人間が関わってるはず」
二宮の勢いに気圧されて頷いた相葉と松本。
櫻井と二宮は部屋の奥に駆けていった。
すでに大野はしゃがみ込んで、二宮から渡されたファイルをめくっている。
「出てくる名前、俺が入隊した頃にいた隊員たちが多い。やっぱりあの時期に」
大野の言葉に、松本が眉をひそめる。
「大野さんって人の名前覚えるの苦手じゃなかった？ 覚えてるの？」
「苦手だけど、さすがに覚えてる。当時の俺にかなり強く当たってきた人たちだから」
そっか、と相葉も呟く。
「大ちゃん、入ったばかりの頃は目つけられてたって言ってたっけ」
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2023年2月18日 23時
