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霰隊の特殊班とは、専門的な技能を持つ隊員が主に所属する班のことだ。
他の班とは少し扱いが違い、雹隊への異動が見込まれている隊員が多く所属している。
そんな特殊班の一つである霰隊二班に、大野は所属していた。
だからこそ、特殊班については知っている方だ。
「雹隊の班で非戦闘員長をやってたやつが霰隊一班に入るなんて、普通はない」
特殊班に所属する隊員は出世を見込まれている。
その「出世」とは霰隊で班長になるか、雹隊に異動することだ。
一度雹隊に異動したにも関わらず、霰隊に戻ってくるというのは出世コースからは外れたことを意味する。
なのに霰隊で特殊班に所属するのは異例だ。
「横田さんに聞いてみる？ 何で江藤さんが特殊班に入ってるのか」
「いや、やめた方がいいかも」
松本の言葉に首を振った相葉。
「霰隊の人事なのに、横田さんが特殊班のことを知らないわけないでしょ？」
大野は黙り込む。
特殊班所属の隊員は、部隊の中でも保護対象になる。
隊員のわがままも多少は通る。
大野が好き勝手にしていても文句を言われなかったのは、力を持っているだけではなく特殊班所属だったから、というのも関係していただろう。
「霰隊四班は長い間欠番になってた。今も霰隊四班は存在してない」
ぽつりと呟いた櫻井。
「霰隊のあのシステムで欠番の班が出るなんて、特殊班を抜いた先頭の班が四班とはいえ不自然だよ」
大野はちらと目を上げた。
どうやら、櫻井も同じことを考えていたらしい。
「そう、おかしいんだよ。二班に所属してた隊員を班長にして四班を作って、事故をきっかけに雹隊に異動させた。直近で四班が存在してたのは、俺らがいた四年間だけ」
大野の言葉に櫻井も頷く。
「そうだね、俺の記憶でもそう。俺らの前の霰隊四班って」
「調べるよ」
再び二宮がパソコンに向かう。
相葉も苦い顔をしているところ、なんとなく察したのだろう。
きっとこれは、知らない方がいい話だった。
「前の霰隊四班は、前の雹隊十五班だ。俺らとまったく同じ」
何かの一覧表を画面に出している二宮。
その画面を、柳谷が隣から覗き込んだ。
一目見て「こんな規則性がある班、他にはないですね」と柳谷は言う。
「班員の人数はバラバラだけど……あれ」
二宮が一人の班員の名前を指さす。
「この『大野』は誰？」
え、と顔を上げた大野。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2023年2月18日 23時
