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何がなんだか分からない班員を見て、大野が苦い顔をする。
嫌なことを思い出させるが、仕方ないだろう。
「俺らが霰隊にいた頃の雹隊情報統括が西本って人だった。安達って人は、西本さんがいた班の班長だよ」
その言葉で、二宮の反応の理由が分かった。
「あの事故が起こったときの？」
大野は頷く。
霰隊四班を雹隊の班と一緒に出すことを決め、霰隊四班の班員が負傷することになったあの現場。
その現場で事故を起こしたことに責任があった二人だ。
二人とも、すでに亡くなっている。
「その二人が関わってたんだね？」
「そう。これはかなりの内部資料だね」
二宮は顔色が悪いままだが、パソコンの画面には目を向けている。
「本当に、最悪だ。こんなの」
それは、スピリットと部隊の関係性を示す資料だった。
今から五年ほど前の雹隊。
数人の隊員の名前が書かれ、雹隊内で密かに「スピリット」の計画が進んでいたことが書かれている。
雲隊とは別物だ。
「西本、安達、菊池、江藤、野村」
二宮が名前を読み上げていく。
知っている名前だ。
「雹隊十八班？」
大野も顔をしかめた。
「西本さんと安達さんは元雹隊十五班。二人とも雲隊にも入ってた」
「菊池も雲隊だったもんな。となると」
なんとなく話が読めた櫻井。
「元雹隊十五班と十八班の、部隊への裏切り？」
「の可能性が高いね」
え、と相葉と松本も二宮を見る。
柳谷も目を見開いている。
部隊の隊員による裏切りが行われていたとなると、話はとんでもないことになる。
その裏切りが世界にまで影響しているとなったら。
「でも全員じゃない。この五人だけ」
西本も安達も菊池も死んでいる。
野村も部隊は辞めている。
となると残りは。
「江藤って」
「十八班の非戦闘員長だったやつだよ。あいつはどこに行ったんだっけ？ 部隊は辞めてないよね」
「霰隊だよ」
大野の問いかけにすぐ答えた櫻井。
「相葉くんも分かるよね？ 江藤さんのこと」
「うん、知ってる。今は霰隊一班の所属」
霰隊のことなら櫻井と相葉もよく知っている。
「あれ？ 霰隊一班ってことは」
松本が不思議そうな顔をした。
「霰隊って、三班までは特殊班ですよね」
柳谷も首を傾げながら呟いている。
「雹隊から霰隊に異動した場合って、特殊班に入ることはできるんですか？」
「本来ならできないね」
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2023年2月18日 23時
