ビリってより罠罠 (ページ22)

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Takuya side.

バイトから帰って、風呂から上がると、リビングに居た親父から、姉ちゃんを呼んできて欲しいと頼まれた。

相変わらず人使い荒いな。

もう、この家での生活も慣れた。

元々、住んでたってのもあるし、母親との生活が辛かったから解放された感じ。

俺が出て行った後も部屋はそのままだった。

姉ちゃんの部屋のドアをノックしても返事が無くて、

拓『姉ちゃん、親父が呼んでる』

イヤフォンをして、何やら大学の課題をしてるみたいだ。

それにしても、姉ちゃんの部屋、久しぶりに入ったな。

棚に置いてある懐かしい物を見つけた。

昔、俺が手作りした時計。

自分で持ってるのが照れくさくて、姉ちゃんにあげたんだっけ。

拓『あれ...？』

その時計の横に置いてある写真に、

拓『Aの彼氏...？』

今と少し雰囲気が違うけど確かにそうだ。

拓『姉ちゃん、ここに写ってる人って、稜雅って名前？』

姉『そうよ。拓弥も小さい時、何回か会ったことあると思うけど？』

全然、気づかなかった。

多分、向こうも気づいてない。

拓『この人と仲良かったっけ？』

姉『幼なじみだからね。中学のとき、付き合ってたけど別れてからは、ほとんど会ってない。』

Aは、姉ちゃんと稜雅って人が付き合ってたこと知ってんのかな？

拓『...姉ちゃんが、今も彼氏作ろうとしないのはこの人が原因？』

姉『どうだろう...。もう三年も前の話だから。』

そう言って、下に降りていった。

姉ちゃんはどこか悲しそうだった。

でも、俺にはどうする事もできない...。