私は貴方の飼い主よ

最強の姉08 ページ9

ねぇ神様、どうして甚爾がこんな扱い受けないといけないの？
あなたから授かった天与呪縛のせいで彼は苦しんでる、それなのにあなたは何もしないというの？

数分前、私は悟と一緒に屋敷内で甚爾を探していた。
稽古も終わっていつも通りお茶菓子を一緒に食べようと思ったら居ないんだもん。
悟は文句言ってるけどそれでも一緒に探してくれるんだからほんとツンデレだよね。
それにしても甚爾はどこに行ったのかなー。
今日はとっても美味しいチョコムースケーキだよ？
あ、私が作ったケーキじゃないよ？
前頑張って作ったけどどうやら私には才能が無いみたい。
料理は出来るのにお菓子は作れないなんて、そんなことある？

「姉さん」

『ん？』

「…あれ」

悟が指さした先には客間があって、そこに甚爾の姿が見えた。
なんだそこに居たんだ。
少し早足でかけ寄って襖を開けようとしたら会話が聞こえた。

「五条家の長女に気に入られたからといって勘違いするなよ？貴様は禪院家ではゴミクズだと言うことを忘れるな」

彼は確か禪院家現当主だ。
原作通り相も変わらず考え方が古い人だ。
でもそんなことよりも私は彼が発した言葉に一気に殺気を放ってしまった。
そのせいで2人にはバレちゃったけど気にしない。
だってそうでしょ？私よりも弱くて甚爾よりも弱い人間が彼をゴミだって言う資格ある？なんならめっちゃ強くても甚爾にゴミ発言する資格なんてないんだよ。
だって彼はゴミじゃないから。

「姉さんっ」

「A…お前」

「なぜ二人がここにっ」

『ねぇ、貴方が言った言葉撤回して？』

「な、なに？」

身体中に呪力が溢れ出して少し気持ち悪い。
だけど意識はハッキリとしていて、彼奴への殺気を抑え込むことはせずにそのままゆっくりと近づいていく。
そばに居た悟も甚爾も私の異変にどうしたらいいのか分からないみたいで、固まってる。

『甚爾がゴミ？どこが？ねぇどこが？彼は呪力を持たない、けれどその代わりに誰にも負けない身体能力を持ってる。鋭い五感を持ってる。呪力もそこそこの貴方にそれを言う権利があるの？例え甚爾よりも強い人が居たって、言う権利はないわ。だって彼はゴミなんかじゃないもの。甚爾は私にとって大切な人で唯一無二の存在なの』

「この、ガキがっ」

『ゴミが喋るなよ？てめぇに発言する権利なんてねぇんだよ、死にたくなかったら撤回しろ』

赫を撃とうと意識を持っていけば、そっと私の小さな手を大きくて大好きな手が優しく握った。





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