今世 李の願い ページ49
・
愛を囁く天女。
俗世とはかけ離れた浮世離れの美貌を持つ私の至宝の主様。
生まれたばかりの私を助け強く育ててくれた唯一無二の救世主。
「…………いつになったら貴方様の救世主は現れるのでしょう」
狂人的に愛に拘り、愛という感情を愛する御方。
昔ある人間があなた様に物申しましたね。
「天女よ、お前は愛を愛さずにはいられないと、愛を理解したい、と言うがお前自身が誰かを愛さなければソレを理解できることなどあるまいよ」
それを聞いたときの貴方様の感情が抜け落ちたような顔が私は未だに忘れられないのです。
あれから愛という感情を抱くために普通の人間になるべく過ごす貴方様を見ていられませんでした。
「 A様は強すぎる、そして優しすぎる。貴方様がもっと我儘で浅はかな思考を持っていれば良かったと何度も、何度も……李は思いました 」
人間も呪霊も他の生き物も……全てが天女の前では等しく同価値。
愛を抱く生き物を愛で護り、その他の生き物には等しく関心を示さない。
お気に入りが出来れば誰にも取られまいと独占欲と執着心を艶やかに囁く。
あの御方にとって愛を抱く人間も、愛を囁いたり、執着心を見せたり、独占欲を発揮したりするお気に入りも結局のところ愛玩生物なのだ。
それはまさしく天女の如き傲慢さを抱いた行動。
「 いつか……いつか、貴方様と同じ強さを持ち愛玩生物の枠から飛び出して貴方様の横で歩けるような誰かが現れれば………………私ではダメなのに!!いつなんだ!!…………A様はいつになれば__」
両面宿儺のように強くなければダメなのか?
「いや!あの男は論外でしょ!?……ただ強さで言うならばって言う話しで 」
── 別に強くなくてもいいのかもしれない。
ふとウニのようなツンツンとした髪を持ち、ついさっき自分が化かした幼い少年と、笑い合うA様の顔が頭を過ぎる。
「それにあの男も惜しかった」
呪力を持たない恐ろしく強い男。
会って間もないあの男にA様は珍しく心を開いていたしな。
__願いは1つ。
天女の愛玩生物という檻から飛び出し、天女と肩を並べ共に歩みを進めることができる人物が現れること。
「李は貴方様の幸せが1番なのです。貴方様が幸せなら祓われても良い」
364人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
武藤で無糖(プロフ) - みくさん» ヒョエーーー!そう思って頂けて嬉しい限りです。コメント凄いモチベになります!ありがとうございます߹ᯅ߹ (2022年11月8日 14時) (レス) @page28 id: 6b6a37760c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - ヤバい...物語の進み方が好きすぎる...設定が好き....面白すぎます!夢主ちゃんのこういう感じ、めっちゃ好きです!! (2022年11月7日 20時) (レス) @page7 id: c22457a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:武藤で無糖 | 作成日時:2022年10月23日 15時