今世 懐かしい ページ29
薄ピンクの煙となったお香が漂う和室。
私に色々なものを教えてくれた彼女との思い出の場所に似ている。
『 やっと大人しくなったのね』
「???? 」
傅く形で倒れてしまった自分に驚いているのか不思議そうな顔をする白髪男。
『 別に殺す気は無いのよ?ただ貴方が私の話しを聞いてくれないからここに招待しただけで……ふふ、そんなに可愛く睨んでも意味ないのに』
腕に巻き付く羽衣を揺らしながら傅いている白髪男の顎を足で上に向けさせる。
『?…………もしかして…貴方のお名前聞かせてくれる?』
答えようとしない白髪男にかけている愛の重さを足して圧をかける。
「ッ!……ごじょ、う、さ……と、る 」
『 ごじょう、ごじょう……五条、ね……随分懐かしい名前を聞いたなあ』
さっきは怒りで男の顔を見てなかったけどよく見ればどこか懐かしいような気がする。
『 五条 ▅▅って言う呪術師は知ってるかしら? 』
少し瞠目した後それを隠すようにまた睨み出した白髪男。
『知ってるのね?…………良かった、彼を語り継いでくれる仲間がいて』
無関心は嫌いだけど、人々から忘れ去られるのも嫌なものだから。
私を愛してくれた彼が現代でも記録として残っているってことは、彼の死を哀しんだ人がいた、もしくは、彼に対して無関心では無いという人が居たって言う証拠になる。
無意識に彼との最後の口付けを思い出せば、込み上がってくる嬉しさから状況を忘れて微笑みが溢れてしまう。
『 そうそう、本題に入らないと。なんで甚爾を殺したか教えてもらわないとね』
惚けた顔をしていた白髪男頬をペチッと優しく叩いて意識を現実に戻す。
「 ンな事、い、うわけ……ねぇだろ!!」
『 あら?』
かけている愛は常人なら既に廃人になるくらいの量と重さのはずなんだけど。
『 なら1点集中でいきましょうか』
愛の形を《友愛》に変更して他の愛を減らし、《友愛》を更に重く彼にかける。
すると、彼の緊迫したような顔はゆっくりと安心したような表情に変わっていき遂にはホッとため息を着いていた。
『 それで?なんで殺したの?』
彼は少し渋った様子を見せながらも話してくれた。
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武藤で無糖(プロフ) - みくさん» ヒョエーーー!そう思って頂けて嬉しい限りです。コメント凄いモチベになります!ありがとうございます߹ᯅ߹ (2022年11月8日 14時) (レス) @page28 id: 6b6a37760c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - ヤバい...物語の進み方が好きすぎる...設定が好き....面白すぎます!夢主ちゃんのこういう感じ、めっちゃ好きです!! (2022年11月7日 20時) (レス) @page7 id: c22457a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:武藤で無糖 | 作成日時:2022年10月23日 15時