今世 ページ20
嬉しいような顔を一瞬したけどそれを隠すように呆れたように笑う甚爾。
『……てゆうか私と一緒に来ない?寂しい思いはさせないよ?』
昔はよく愛を学んだ人間と一緒に行動してたなあ。
まあ、でも宿儺にお気に入りの人間を殺されてからそれが嫌で李とずっといるようになったんだけど。
「 ははっ……そう、だな…………」
甚爾は瞠目した後ゆっくりと目を瞑った。
「 いや、遠慮しとくわ。お前といると色々もちそうにないしな 」
『 そっ、か。それは残念だ。それじゃ、またね』
「 あぁ」
いつの間にか意識を覚まして置物の様に静かに伏せをしていた李に声をかけ私は足早に去ろうとしていた。
「 もし、住む家がないならここに行くと良い 。それじゃあな、天女様」
服の切れ端のような所に住所が汚い字で殴り書きされていた。
『 そうなの?ありがとう』
甚爾らしくないその妙に親切な行動を不思議に思いながら私は背中を向けて再度歩き出した。
『ごめんね、李。忘れてたわけじゃないのよ?』
「 いえ、私があんなゴミ屑に負けたのが悪いんです……A様口調戻ってますよ」
『 ああ、そう、だね?……うん、多分もう大丈夫……よし、これから耳朶と軟骨に穴を開けに行くんだけど李もどう?』
「そ、そんなにA様の御尊体に穴を開けるなど私は反対です!!!」
『 えぇ、じゃあ李が開けていいからさ』
「え、まじすか?」
さっきまで眉を釣り上げて怒っていたはずの李がに真剣な顔で慣れたように現代語を活用したので驚く。
『な、なんなら李のも開けてお揃いとかにしちゃう?』
答えは聞かずとも李の顔を見れば一目瞭然だった。
____
「 ………… 」
甚爾は日の下を歩く天女の背中が小さくなるまでずっと見続けていた。
途中李が気づいて威嚇していたがそれにも気づかず、ただじっと見つめていた。
甚爾
誘われてだいぶ迷った。正直女としても、特例特級呪物と言う面白い立場にも興味が湧いていた。なんなら好意も。
断ったあと日陰から日向を歩くAを見て断って良かったと思ったりした。
李
負けたのはめちゃくちゃ悔しかったけど強いのは認めていたからAと二人きりで話すのも許したし、ゴミ屑塵芥からゴミ屑に変わった。
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武藤で無糖(プロフ) - みくさん» ヒョエーーー!そう思って頂けて嬉しい限りです。コメント凄いモチベになります!ありがとうございます߹ᯅ߹ (2022年11月8日 14時) (レス) @page28 id: 6b6a37760c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - ヤバい...物語の進み方が好きすぎる...設定が好き....面白すぎます!夢主ちゃんのこういう感じ、めっちゃ好きです!! (2022年11月7日 20時) (レス) @page7 id: c22457a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:武藤で無糖 | 作成日時:2022年10月23日 15時