災難な日 伏黒甚爾 ページ17
任務が終わり複数いる女の元に転がり込んだ。
「 優子金くれないか?」
「私は優子じゃなくて結衣よ」
……追い出された。
「(なんだ?今日は災難続きだな)」
追い出されたあともばったり呪術師とエンカウントしちまうし……あー、今日は競馬やめとこ。
「ペッ……あー、マジでクソだな」
口に溜まった血を吐き出し濁った空に独白する。
その言葉は俺に向けてなのかこの世界に向けてなのかは言った本人である俺にすら分からなかった。
「(今日俺死ぬんか?いやまじでさ )」
別に弱気を吐いた訳じゃなかった。いつにもなく続く災難に少し疲れていただけだったのだ。
血が少なくなって意識が朦朧とする。
その時に出会った。
肌は初雪のごとく白く薄らと見える顔も日本人離れした……いや、浮世離れした美貌だ。
染めているのだろう
__普段ならこんなこと考える訳ない。
だが、災難続きでヤワっていた精神と俗世を感じさせない目の前の美貌の女がちょうど俺の考えていたことと当てはまってしまったのだ。
「(死ぬなら地獄の鬼が来ると思ってたが……)」
天使。
このままこの女になら殺されても……
「(なんなんだこの違和感)」
朦朧とした意識は回復し長年俺を支え続けてきた五感が警報を痛いほど鳴らしている。
気づくと無意識に天逆鉾を出していたがそれを防がれた。
愛を教えてだと?
俺を口説いてんのか?この天女様とやらは
不思議と嫌な気持ちはしな…………いやいやいや?今戦闘中だよな?俺何考えてんだ?は?流石にないだろ。
「 知る知らないじゃねえ、俺は愛なんて金にもならねえモノを持ってないって言ってんの」
『 ふぅん……そう。じゃあ、死んで?』
「(………………やっぱり今日は嫌な日だ)」
死ぬ間際に思い出したのは赤子を穏やかな表情で抱く一人の女。
そーいや、子供の名前なんだっけなー……
振りあげられた細く白い腕は俺の心臓を貫く訳でもなくて、首をもぐ訳でもなく、緩急な動きで俺の顔を包んだ。
『 それが貴方の愛よ』
先程までと打って変わって、しっとりとした女の声と目尻を下げて微笑むその視線はまるで愛しくて仕方ないと言いたげで俺は人生最大で困惑した。
多分俺の心臓が上下に煩く鼓動しているのはこの困惑のせいであって…………別に少女漫画のような可愛い胸の高鳴りなんかでは無い。断じてだ。
364人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
武藤で無糖(プロフ) - みくさん» ヒョエーーー!そう思って頂けて嬉しい限りです。コメント凄いモチベになります!ありがとうございます߹ᯅ߹ (2022年11月8日 14時) (レス) @page28 id: 6b6a37760c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - ヤバい...物語の進み方が好きすぎる...設定が好き....面白すぎます!夢主ちゃんのこういう感じ、めっちゃ好きです!! (2022年11月7日 20時) (レス) @page7 id: c22457a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:武藤で無糖 | 作成日時:2022年10月23日 15時