09:コート内の憂鬱 ページ9
.
「どしたの浮かない顔して」
「そーだよ、折角糸師くん近くで見れるのに」
「違うもん……。それは別として…」
「何が問題なのよ」
「私も見られちゃうじゃん!!」
私の心からの叫びに友達は苦笑した。
これだけ言うのも、実をいうとめちゃくちゃ運動音痴だから。
目立たないようにしようとしてもメンバーが6人しかいないから嫌でも出場しないといけない。
トーナメントなんて誰が考えたんだ。
頭を抱えながら、体育館のコート半分を使って試合している凛くんを盗み見る。
バスケの方が早めにアップを終えて試合を開始していたので、凛くんはもう既に1試合目を終えようとしている。
「糸師ナイッシュー!」
「さっさと終わらせるぞ」
「糸師くんやっぱ超人……」
毎日見てるのにやっぱ知り合って2か月じゃ知らない事も多い。
凛くんに苦手なものを聞くとサッカー以外と返してきたくせに、全然バスケ部と引けを取らないプレイをかましてる。
格好良すぎて今すぐスタンディングオベーションしたい。
「煩悩が多すぎる……」
「何してんのA」
「心頭滅却の為に凛くんが吐いた言葉の数を数えてた」
「煩悩の塊じゃん」
ハーフコートを使いこなして一瞬でボールを奪っている。
そりゃ、いつもはあれだけ広いサッカーコートを縦横無尽に走り回ってるんだから、その三分の一にも満たないサイズだったら余裕なんだろうな。
「ほら、Aいくよー!」
「…うん、頑張ろう!」
本当は凛くんが動いてる姿を一秒も見逃がしたくないけど私も試合に出ないといけないししょうがない。
6人しかいないバレーのメンバーは勿論補欠なしの全員参加だった。
メンバーには悪いけど勝ち上がりだから早い所負けて終わってしまいたい、なんて考えてしまっていた。
「試合終了ー! 3組の勝ち!」
「わー凄いよA!」
「勝っちゃった」
私の思惑とは裏腹に何故か勝ち進めてしまった。おかしい。
訳が分からずボールを上げれば、いつの間にか他のメンバーが決めてくれていた。
私隠れた才能なのでは。
ちらりと反対のコートを見ると、凛くんは休憩に入っていた。
一度も合わない視線。あー見てくれてなかった。
期待はしてなかったけど、いざ活躍できると視界に入れてもらいたい気持ちもある。
もういっそのこと、失敗した所でもいいから私の事見てくれなんて馬鹿な事を思っていた。
.
465人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう! (7月21日 13時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです!夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって!これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます!原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー!!面白かったです! (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます!大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます! (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おそらまめ | 作成日時:2023年3月27日 18時