05:恋の定義* ページ5
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「いった…! 何すんだよ!!」
「本当やめて下さい。私だって肩痛かったし、ていうか1対3で私のが不利だし!」
「はぁ? マジで意味わかんないんですけど」
Aが、変なチャームのいっぱいついた改造スリッパを思いっきり踏んだ。
なのにそのごつごつした石のせいで、彼女の方が若干痛手を負う。ツボを押された気分だ。
凄みを聞かせた先輩の眉がつり上がる。
そのまま運悪く長い睫毛が目に入ってしまえばいいのに、なんて下らない事をAは考えていた。
「私だって別に凛くんに許されてるわけじゃないし。
ていうか気に入られてないし」
「毎日ベタベタくっついてるって噂ですけどお」
「先輩、こんな下らない事する前にもっとやる事あるんじゃないですか?」
「マジで何なの? 喧嘩売ってんのお前」
苛立った様子で、先輩がAの脇の壁に手を打ち付ける。
この時点で、野次馬はハラハラしながらもその行方を見守る。
というより、何人かは事の結末を些か楽しみにしている。
「__糸師、何かお前で喧嘩なってるっぽい」
「あ?」
「宇野さんが2年の女子に絡まれてるって」
運がいいのか悪いのか、移動教室から出戻った糸師の耳にその情報が入る。
彼の心中は底知れず。若干目をぎらつかせた凛はもう一度腰を上げた。
「お前マジでいい加減にしなよ」
「宇野さーだからあざといって言われんだよ」
「あざといとか今まで一度も言われたことないんですけど。
ていうかあざといのは凛くんの前だけですう」
「本当生意気ムカつくわ!」
彼女の背中を目視した時には、凛にとって理解不能な口喧嘩をしていた時だった。
話題の男の登場で更に無言で沸き立つ1年生。
当の本人たちは、白熱して周囲の状況に気付かない。
「うざいんだよ、お前も面食いのくせに」
「…顔ばっか気にしてる先輩たちと一緒にしないでもらえますか。
凛くんがヨダレ垂らして寝てたってシワシワになったって好きな自信あります?」
「は? 今そんな話、」
「私はあります。凛くんの全部、好きなんて平凡な言葉じゃ表せないくらいだから」
凛が学校で初めて見せた顔だった。
目を見張って、大きくない背中を食い入るように見つめる。
逆上した2年生がAの髪の毛を掴んだ時、凛の足は動いていた。
「お前ら何やってんだ!」
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう! (7月21日 13時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです!夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって!これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます!原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー!!面白かったです! (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます!大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます! (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2023年3月27日 18時