36:素敵な居場所 ページ36
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「……っへ、だからね。私さっき言ったよね、凛くんと私は釣り合わないって」
「俺も言ったよな。離れんなって」
「離れるとは言ってないじゃん! ずっと応援するって言った!」
「違えよタコ! 近くにいろっつってんだ」
「それじゃ解決しないんだってば!」
むず痒そうな顔で私をまじまじと見た後、彼は大きなため息をついて私の横に手をついた。
「……何がそんなに不安なんだよ。
釣り合いとか心底どうでもいいだろ」
「…凛くんはそうでも、周りはそうじゃないもん」
「気にしなきゃいいだろ、雑魚の言う事なんて」
「皆が皆凛くんみたいに、強くないんだよ」
私は今まで逆境とか、対立とか無縁の人生を歩んできたから。
いざ自分が攻撃の対象になってしまったら、毎日笑って過ごせない。
「ただ一緒にいるんじゃねえ。俺が守んだぞ、お前の事」
「……え?」
「意味わかんねえか。
俺の側に居ろっていうのは、」
言葉を詰まらせた凛くんが詮索するように顔を覗き込んで来る。
首を傾げると、少し苛立った様子で私の顎を若干乱暴に掴んだ。
彼が顔を傾けて、長い睫毛が私の頬に触れる。
きっと腑抜けた顔のまま、その出来事は一瞬で過去に変わった。
………え、今。くち、
「ただの友達でって意味じゃねえぞ」
「〜…ッ!? 今きす、」
「俺はこんだけしたぞ。頼むから、折れろ」
理解が追い付かない。
だって凛くんは、え。好きな女って、本当に。
「な、っおさら…批判食らうと思うんです、けど…!」
「……はァ。まだ言うのかお前」
「だって、凛くんの隣に立つ自信ない……!」
「お前、俺に好かれてる自信はあんだろ」
窺うような視線を私に向ける。翆色の瞳が一瞬揺らいで、瞬きする。
「それは…あるけど」
「その時点でお前もう俺の隣に立ってんだよ。
俺が好きになった女がそこら辺の雑魚に負けるわけねえ」
「っ……」
「俺以外の事で、揺らいでんじゃねえよ」
強引なのに、凛くんがいう事には逆らう気になれなかった。
何より、凛くんの瞳の奥が無性に優しくて暖かい。
無意識に流れた涙を、優しい顔した凛くんが拭ってくれる。
「……ッ期待しても、いいんですか」
有り得ないと思ってた。
私が凛くんの一番になるなんて。
じっと私を見つめていた凛くんが、再び頬を掴む。
「大変いいわ、バカ」
愛し凛くんわかりません
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう! (7月21日 13時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです!夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって!これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます!原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー!!面白かったです! (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます!大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます! (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2023年3月27日 18時