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33:何でいる ページ33

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「あ! おはよう!」

「………お前何でいる」

「お友達にクラス聞いた!」

「友達なんかいねえよ」

「え? ぼっちなの?」

「殺されてえのか……」





翌朝また大量のゴミを処理した後教室につけば俺の前の席に座って嬉しそうに笑顔になる昨日の女がいた。
ていうか友達ってまじで誰だ。
睨みつけても、全く怖気ないこの女。





「そういえば昨日名前聞いてなかったと思って!
 私は宇野Aです! 好きなヒーローは貴方です!」

「自己紹介は不要だ。
 お前の事なんざ興味ねえ。消えろ」

「嫌だ! 名前聞くまで帰れま10してるから!」

「名前は10もねえよ」

「今のところヒーローと王子様と推しで3つです!」

「どれも俺じゃねえ」





その女はけらけら太陽が照り返すみてえに、眩しく笑った。
光が鬱陶しいのに、妙に俺を暖かくさせる。


席について、ため息まじりに「……糸師凛」と告げると、ますます女の目は輝いた。





「糸師凛くん! 覚えた!」

「さっさと帰れ」

「……あれ、そういえば糸師ってどこかで……」





瞬間、俺の心が猛毒のように殺気立った。
激しい嫌悪感が目の前の太陽を毒する。


女を睨みつけると、俺の顔を見て息を呑んでいた。





「失せろ。俺の前から今すぐ」

「分かった、またね」

「二度と来るな」





女の感情は読み取れなかった。
その前に俺の頭痛が酷くなって顔も見ずに追っ払った。

結局、どいつもこいつもあのクソ兄貴を俺と重ねやがる。



このクラスに居る奴も、毎朝ゴミを投函するモブ共も、あの女も。





「………俺は、"糸師冴の弟"じゃねえ……ッ」





ぐらぐらと、言葉に言い表せない程の暴悪な憎しみが頭に沸いて煮え滾っている。
クソ。頭痛の種がまた一つ増えやがった。





「――…………は?」





翌朝には、またそいつが居た。
何でいる。昨日あれだけ言ったのに。




まだ俺に気付かず、窓の外を眺めているそいつは、口角を上げて若干色素の抜けた長い髪を風に遊ばせていた。





「あ、凛くん!」





俺の名前をそいつが呼んだ時、あれだけ酷かった頭痛が和らいだ。

何でそんなに、俺を見て嬉しそうにすんだよ。
お前にとって、俺がそんなに大事な存在なのか。





「昨日、二度と来るなって言っただろ」

「そんなんで諦めたりしないもーん。凛くんの名前知っちゃったし」

「っは、たかが名前くらいで」

「名前くらい、なんかじゃないもん」





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34:確信した心→←32:稲妻のように



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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう! (7月21日 13時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです!夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって!これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます!原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー!!面白かったです! (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます!大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます! (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2023年3月27日 18時

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