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27:離れていても ページ27

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逃げるように早足で教室に戻ってきた。
息切れと動悸が止まらない。

他の4人が各々もう別の話をしている中、私とよっちゃんだけはいまだ一言も言葉を発せなかった。





「……っはあ、は」

「……A、あのさ」





先に破ったのは彼女の方だった。
私の手を引いた時、きっと彼女も、凛くんの言葉を聞いたはず。


躊躇うみたいに彷徨う目線。
だけど一度喉を鳴らして呼吸を整えると、意を決したかのようによっちゃんは私を捉えた。





「糸師凛…変わってないよ」

「……変わってないって、」

「分かるでしょ。A、こんな事したって意味ない。
 やっぱりはっきりさせなきゃ」

「でもよっちゃん、この1週間音沙汰無かったんだよ。
 しばらくしたらきっと……」

「違うよ。もし糸師がAの事を諦めたとしても、こんな形で避けるのは良くないよ。
 だってこれじゃ、人の好意を弄んでるのと一緒だもん」





彼女の言葉に、ずしんと身体が重くなる。
今まで一番協力してくれたのはよっちゃんだった。

さっきだって凛くんの一言で動けなくなった私の手を引いたのは他でもないこの人だ。


だけど、よっちゃんはずっと迷ってたんだ。
今の言い振りからして、きっと今思い立って言ったことじゃない。

ずっと近くで私の友達として見守ってくれてたからこそ、その決断をしてくれたんだ。





「……そう、だよね。
 私、どこかでずっと凛くんが離れないように縛り付けてたんだと思う。
 ちゃんと勇気出して話し合ってみる」

「うん。ありがとうA」




お礼を言うのはこっちなのに。
よっちゃんは私よりも泣きそうな顔して私の肩を叩いた。



__とは言ったものの、もうかれこれ6日も凛くんと喋ってないせいで、今までどうやって接していたか分からなくなっている。
うんうんと唸りながら結局6限。
ホームルームが来てしまった。





『明日話したいことがあります』
緊張してやけに他人行儀な口調のままメッセージを送信した。

他の生徒がちらほらと帰っていくのを傍観する中、いまだに私は教室から出れずに携帯を弄っていた。





「……はー、明日ちゃんと言えるかな……」





誰に聞かせるでもない独り言を呟いて教室を出る。
ぼうっと眺めていたトーク画面の私の言葉の左下に、不意に既読がつく。


……そして何となく気配がして、私が顔を上げた時だった。





「――凛く、ん」





廊下の一番端っこ同士で、凛くんと目が合った。





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28:行きついた先は→←26:食堂での戦争



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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう! (7月21日 13時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです!夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって!これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます!原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー!!面白かったです! (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます!大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます! (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2023年3月27日 18時

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