17:恋の温床 ページ17
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恐ろしいほど周りの音が止んだ。
至近距離で私の顔を覗き込む凛くんの目はいつも以上に青い炎を宿していて、縋るような目を絡ませる。
私の反応を、この後の言葉を、試すような目。
これから私は彼の望んでいる言葉しか放ってはいけない、そんな強い力を感じた。
「……そりゃ、凛くんは根は良い人だもんね！
意外と心広いし――」
「こんなバカみてえな事を許すのは、お前だけだ」
「凛く、」
するりと私の手を取って、そのまま緩慢な速度でひんやりと冷たい指が絡められた。
どっ、急激に心臓が血を送り始める。
巡り巡って、目の前の彼に見つめられて、変な汗が出てきた。
いつもだったら変な言葉を紡げるのに何も思い浮かばない。
この潤んだ空気は、全て凛くんのものだ。
「お前なんか、俺にとって必要ねえのに」
「こうしてお前の手握るだけで、痛くなんだよ」
凛くんの顔が焦れるように歪められた。ねえ、何でそんな顔するの、凛くん。
そんなの、まるで。
私の手を握る力が強くなる。この手から私と凛くんの気持ちが丸裸にされそうだった。
「……お前が気付くまで待とうと思ってたが」
凛くんがこの先を何を言わんとしているかは、ばかな私でも容易に予測できた。
耳が熱い。冷や汗も止まらないのは、きっと雲隠れの太陽のせいだ。
甘い熱を持って、凛くんが私をじっと見つめる。
「俺はお前の事、」
「っっ……凛くん！」
絡められていた指先をとって、彼の肩を押した。
拍子抜けしたように開かれる目、漏れた吐息。
この先を聞く勇気は、私にはなかった。
これを聞けば間違いなく以前の関係に戻ることができないと思った。
「〜〜……あはは、ごめん！ 何か突然お腹痛くなっちゃって！
また今度聞くねっばいばい凛くん！」
「宇野」
もう最後は彼の顔も見れずに、その大きな体から抜け出した。
私を捕まえるなんて簡単に出来るはずなのに、凛くんが角を曲がってくることはなかった。
崩れるように家に押し入って、玄関にへたり込む。
まだ、心臓がばくばくしている。
だって私は凛くんの言う通り、ただの脇役で……私が勝手に凛くんの事を好きになって、凛くんに幸せになってほしくて、凛くんのことを誰よりも近くで見たかっただけで。
好きな気持ちをどうこうしたいわけじゃない。
「……どうしたらいいの…」唸ってもその分感情がはびこるだけだった。
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう！ (7月21日 13時) (
レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです！夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって！これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます！原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー！！面白かったです！ (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます！大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます！ (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2023年3月27日 18時
