13:完璧の忘れ物 ページ13
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私はあの時からずっと凛くんの事が好きで、私が一方的に凛くんに取りついて、凛くんはそれを受け流してくれるだけで、私は十分だった。
なのに、おかしい。
憧れのヒーローに、私は近づきすぎてしまったのかもしれない。
「あらら、今日も聖地巡礼行ってないなんて珍しいじゃん」
「ちょっと気まずくて」
「私にはわかるよー？ その気持ち」
「推しと急接近したこの気持ちが分かられてたまるか！」
あの球技大会の事件以来、私と凛くんはちょっとした有名人になってしまった。
元々凛くんは有名だったけど、私はその「あの糸師凛」に抱き抱えられた１年、として嫌な方に目立っている。
ちょっと前の２年生喧嘩の事もあって、私はこれ以上"有名"にはなりたくない。
私の太陽は、愛を伝えるには強固な衛星が多すぎたみたいだ。
「てか、糸師凛は大丈夫なの？」
「そーだよ。あんたいないと１組死ぬって聞くんだから」
「何で私が居ないと凛くんのクラスが死ぬの」
凛くんには、金曜日の球技大会の後「人目があるから」とか云々の理由をつけて暫く朝に会いに行くのを止める事を伝えた。
わざわざ家の前まで送ってくれた凛くんは、しばらく私を凝視した後、絞り出したような声で「……わかった」と踵を返した。
土日を挟んで、月・火・水。５日間凛くんと話さないってだけで私の頭の中の凛くんフィルターにそろそろ美的加工がかかってしまいそうだ。
「宇野」
「なにー、…へあっ！？」
机に突っ伏して不貞腐れてた私を呼んだ惹き付ける低い声。
廊下に目を向けた私は、引き戸に体を預けながら教室を覗き込む凛くんを見つけてしまった。
「えっな、何」
「教科書忘れた。貸して」
「ええっ？」
あの完璧超人出木杉りんくんが！ 教科書を忘れる？
驚愕で勢いよく立ち上がると、思いっきり膝をぶつけた。
そんな私のドジに対しても、彼はいつもの如く鼻で笑った。
「何で私なの凛くん。暫く会えないって言ったじゃん」
「俺から会いに来んのは言われてねえ」
「……屁理屈！」
「悪口なら留年レベルだな」
凛くんからおねだりされたからには私が逆らう選択肢はない。
しぶしぶ政経の教科書を机の下から引っ張って凛くんに渡すと、「３限までには返す」と言われた。
手渡しの一瞬の時間だけ触れ合った凛くんの指先はひんやりと冷たかった。
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう！ (7月21日 13時) (
レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです！夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって！これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます！原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー！！面白かったです！ (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます！大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます！ (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2023年3月27日 18時
