2 ページ2
「…あつい」
直射日光で目が覚めた。
”誰か”は毎朝カーテンを開ける。いつやっているのかは知らないが、大体日の出辺りだろうか。
基本真夏の夜は熱いが、昨夜は少し肌寒くて掛け布団を被って寝た。
…その布団はベッドの外に投げ出されているけれど。
起き上がって伸びをする。そうすれば、硬くなっていた体はぱきぱきと音を鳴らした。
ベッドから離れれば、部屋の扉がひとりでに開く。
…これが、”誰か”の「おはよう」の挨拶だ。
「おはよう。日差し強いし、別にカーテン開けなくてもよかったじゃんか。」
思ったよりも低い声がでてしまって、なんだか怒っている風になってしまった。
「まぁこうしないと起きれないから助かるけど…」と付け加える。
この家は二階建て。僕の部屋など、家族各々の部屋は二階にあって、それ以外のリビングや洗面所、トイレは一階にある。
顔を洗うために一階に降りた。別に潔癖症ではないが、起きたときに顔や手を洗わないと気になってなにもできない。
洗面所で顔をぱしゃぱしゃと洗った。妹は何か顔に塗ってから洗っていたけれど、僕はそこまでしたいとは思わないので水洗いで終わる。
うがいをして、鏡を見る。髪の、右上の束が元気にぴょこんとはねていた。水をつけて何度か撫でてみるも直らない。ので、放置することにした。
L字のキッチンに立って、息を吐く。
「朝ご飯、どうしようかな…」
炊飯器は空になっている。冷凍した白米は二日前に食べきった。
食パンが一枚余っていたので、冷蔵庫に眠っていたスライスチーズとケチャップを使って、ピザトースト…的なのを作ることにした。
チーズはうまく乗せれた。が、ケチャップが戦犯となってしまうのだった。
残りの量が少なかったらしく、ぷしゅ、ぷしゅ、と情けない音を鳴らす。
やけになって乱暴に振り下ろしてみれば、べちゃっと残りが飛び出してきた。チーズの上が悲惨な事件現場のようになった。
諦めてオーブントースターに突っ込む。
うちのはもう買って三年程になる。オーブントースターも年老いてきたらしく、火力が年々弱くなってきている。
目盛りをぐいっと一気に二十分の所まで回して、少し放置して四、五分の所に合わせる。
焼きあがるまでの時間に皿と飲み物を用意する事にした。
朝はいつもさっぱりしたいので、冷たい牛乳をコップ一杯分。
いつもパンを乗せる青色の丸いトレイを食器棚から出す。
焼きあがるまで、あと三分程だ。
9人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
基山てい(プロフ) - 彗月さん» 嬉しいコメントありがとうございます!時間があるときにちまちまと文章の方進めておりますので、楽しみにしていただけると嬉しいです…! (2023年5月9日 20時) (レス) id: 715f75cf8f (このIDを非表示/違反報告)
彗月(プロフ) - コメント失礼します! 基山ていさんの文章が凄く読みやすくてスッと情景が浮かび、読んでいてとても楽しいです。これからも無理のない程度でがんばって下さい!ささやかながら応援しています! (2023年5月9日 18時) (レス) @page15 id: da3dfca38a (このIDを非表示/違反報告)
基山てい(プロフ) - わわわさん» 返信すごい遅れてしまってすみません!高校が始まって色々忙しくてなかなか更新ができませんでした!もうすぐ完結ですが(ネタバレ)、そこまで読んでいただけるととても嬉しいです! (2023年5月4日 16時) (レス) id: 715f75cf8f (このIDを非表示/違反報告)
わわわ - はいコメント二度目〜(ウザ)面白すぎでは!?意味深な発言とか一樹くんは何があったとか…マジで気になるッ!!自分のペースで、更新頑張ってください!! (2023年4月15日 20時) (レス) @page12 id: 25bccbe9da (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - わわわさん» うわぁぁコメントありがとうございます!とても励みになります! (2023年3月26日 0時) (レス) id: 715f75cf8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ