第158話 その決断もまた勝負 ページ9
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「イプシロンがいない…！」
「……三分経ってる…」
夏未が手元のストップウォッチを見て、それから監督を見た。春奈は立ち上がり、嬉しそうに叫んだ。
「木暮くんすごい！！」
「偶然でしょ！いわゆるビギナーズラックですよ！」
目金が慌てて言ったが、瞳子監督が否定した。
「偶然だけかしら」
「え！？」
「そうですよ！！あれこそ、木暮くんの実力なんだと思います！！」
「褒めすぎですよ音無さん！！全く…ちょーっと可愛いからって、母性本能くすぐられちゃったってやつですか……！？」
「なっ……違いますよ！！」
目金と音無が言い合い始めたのを横で見ながら、Aが微笑んだ。
────
「やったね、木暮くん！！」
「あいつらのシュートをカットしたんだ。すごいな！」
春奈とAが木暮の方に寄って褒め称えると、木暮はぽかんとした顔をした。
「やっぱり意外性があったね！」
「ああ！結構やるもんだな！」
「ほんとだよね！補欠にしとくのもったいないよ！」
「ってことだ！お前、すごいぜ！！」
他のメンバーたちも口々に木暮を褒めると、木暮は少し頬を赤らめて、嬉しそうにニヤニヤした。
「そうさ！俺、すごいんだ！！うっしっしっしっし！！」
「大したものだ、木暮！！」
「見事だったぞ！！」
漫遊寺の選手たちが嬉しそうに笑いながら木暮の方へ駆け寄った瞬間、彼らは近くの落とし穴に落ちた。
「うっしっしっしっしっ！！」
「だ、大丈夫ですか！？」
「木暮────！！」
「うーっしっしっしっしっ！遅いんだよ！！今頃俺がすごいってわかったのか〜〜！？」
「木暮くん！！」
春奈が怒鳴ると、木暮はぎくりとして、慌てて逃げ出した。
「あなたを褒めてるのにその態度は何なの！？」
「うわーっ！！」
春奈が木暮を追いかけようとすると、しわがれ声がそれを遮った。
「待ちなさい」
「監督…！」
漫遊寺中の選手が目を丸くして老人を見た。
「漫遊寺中サッカー部の？」
「はい」
「今までどこに？」
「この子達がわが校を守るためにいかにするか、その決断もまた勝負……勝つも負けるも人生の無駄にはならぬと、何も言わずに見守っておりました。貴方方とともに戦った木暮とて、同じことです」
漫遊寺の監督は、瞳子監督を見ながら言った。
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無名(プロフ) - ヤギさん» 返信が遅れてしまいごめんなさい😭🙏嬉しいですありがとうございます…😭😭🙏🙏💕💕 (2022年10月4日 19時) (
レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
ヤギ(プロフ) - とても面白くて最初からここまで一気に読んでしまいました、応援してます！ (2022年6月1日 4時) (レス) @page2 id: 4a42e1cfde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無名 | 作成日時：2022年5月9日 22時
