紅一点は16人がだいすき！3 (ページ5)

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私はあの日までは樹が好きだった。
自分にとって樹は特別で、
樹も私が特別だとそう思っていた。
でもそう思ってたのは自分だけで
噛み合っていたはずの歯車は
いつのまにか止まってた。

それに気付いたとき
もう私はそこで樹への感情も止めた。
そしてただメンバーとして
１番の理解者として
樹のそばにいることに決めていた。

だから今、樹の言葉を聞いても
もうよくわかんない。

そして起きるタイミングもわかんない(笑)

ガチャバタン

誰か部屋を出て行った。
2人とも出たのかどっちか残ってるのか。
ネコかリスか、、、

　『んー、、、。』
？「おはよう」
　『おはよう』

そこにいたのはネコだった。

樹「よく寝れた？体調は？」

　『だいぶ回復したよ。みんなは？』

樹「順番にコメント撮りとかしてる」

　『そっか。樹はもう終わった？』

樹「終わった。なんか食べる？」

　『ううん、いらない』

樹「じゃ、なんか飲む？」

　『うん、水でいい』

樹「はい」

体を起こすと1枚の紙が床に落ちた。

　『なにこれ』

樹「あぁ(笑)健太さんがもし起きて1人だったときに
　寂しくないようにって」

ノートの角をちぎったような紙には
“待っててね”というメッセージとともに
ウサギの絵と健太さんのサイン(笑)

健太さんの優しさが詰まったこの紙を
カバンの中にしまった。

コンコンガチャ

マ「A起きてたか。体調は？」

　『あ、大丈夫です』

マ「そろそろまた撮影始めるから
　白の衣装に着替えれる？」

　『わかりました』

マ「樹も着替えてきて」

樹「はい、了解です」

バタン

　『いこっか』

樹「うん。はい」

　『はい(笑)』

樹と手を繋いで控室を出た。

着替える前には気付かなかったけど、
外に出るともう空は白くなっていて
残りの撮影の追い込みが始まる。

みんなとにかく早く終わらせたい一心で
無我夢中で撮影に挑む。

最後は噴水の前でまた全員での場面。
何テイクも重ねる。

“撮影終了です！お疲れ様でした！”

“お疲れ様でした。ありがとうございました”

やっと長いMV撮影が終わった。

昂「Aちゃん、大丈夫っすか？」

　『あ、昂秀。大丈夫だけどおんぶして』

昂「え、あ、はい」

目の前に背中を向け、しゃがむ昂秀。
その背中に飛び乗ると
後ろからみんなが着いてくる(笑)