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「お隣、失礼?」
得点とか審判とかは体育委員の子や先生達がしてくれとるけど、生徒会役員は試合に出ていない間は保健委員のお手伝いをせなあかんから、怪我人がおらんかギャラリーで体育館全体を見回しているといつの間にか私の隣に人が来とった。
『試合はまだなんですか?』
「おん、次の次やから大丈夫〜」
間延びした彼の声に此方まで気が抜けてまいそうや。
うちの學園には第一から第三までの三つの体育館があり、球技大会は学年毎に使用する場所が決められとる。第三、第二、第一になるにつれて少しずつ広くなっていく為、一年生は第三、二年生は第二、三年生は第一体育館へとグレードアップしていくんや。
競技内容も学年別で分かれとって、二年生はドッチボールって決まっとる。因むと一年はバレーで三年はバスケやで。
「そう言えば東條サン」
『何ですか?』
「あれ、、、エーミールの件の事なんすけど、」
『!もしかしてまた何かされたんじゃっ!』
「大丈夫そういう話ちゃうから、ね?」
今は誰もエーミールの事虐めようなんて奴はおらんよと子供を安心させる母親のような微笑みで言われてしまえば、何も返す言葉は見つからへん。
「今更っちゃ今更なんやけどさ、生徒らの前で出した動画、なんで彼処で区切ってしもたんかなって」
あ、私が出て行く前で映像は終了したもんね。
『生徒達に見せる分にはあれだけで十分やったからですよ?』
「でも俺が録っとった部分も有り難そうにしてはりましたやん?」
『あーそれは生徒会と先生方に向けて、、、というより、主には生徒会の人達用ですね』
「なんでですの?」
『生徒会のみんなは、、、良くも悪くも役員の事になると過保護過ぎる所があるんです。だから、私だって相手を倒せるぐらいの力があるという証拠として欲しかったんです。後は万が一先生方に映像の偽装を疑われた時用ってとこですかね?』
「(そんなに細かいとこまで考えてたんか、、、)」
『だから、あの状況で証拠動画を残してくれて、ありがとうございました』
「え?いや俺はなんの役にも、、、」
『エーミールさんの役にも、私の役にも立ってくれましたよ』
そう言って少し口角を上げてみれば、鬱島君は青藍の瞳を一瞬揺れ動かせながらも良かったと微笑み返してくれた。
「そうや、俺の事は鬱君って呼んで?大君でもええよ♡」
『あ、ぴくとに大先生には気を付けろと言われているのでこのままで』
「ぴくさん?!」
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黒翠(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!この作品に出会って下さったということに、感謝の気持ちで胸いっぱいです。お優しいコメントをありがとうございます! (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - コメント失礼します。この小説面白いです。黒翠さん、素敵な作品をありがとうございます (2023年3月13日 21時) (レス) @page39 id: e066df4934 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - リリィさん» コメントありがとうございます!嬉しい限りです!そのお言葉で更新頑張れますありがとうございます!! (2022年2月22日 0時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - とても面白くて続きが楽しみです! (2022年2月21日 21時) (レス) @page6 id: 74ae9aa626 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - 露助さん» いえいえそんな!いつもコメントありがとうございます!頑張れます〜!(書いてる私自身も思ってます^^;) (2022年2月16日 22時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒翠 | 作成日時:2022年2月8日 0時