53.kn side ページ3
kn side
彼女と対等に接する事が出来る立場になれたものの、この年になって初めて恋というもんに触れた俺は中々行動に出せずにおった。大先生やあるまいし、女の扱いなんて一人っ子の俺には分からへんかった。
そして今日も何冊かの本を机の上に置いて、頬杖をつきながら彼女の様子を眺めとった。
「(でも、このままじゃあかんよな、、、)」
童帝であるトントン、ロボロ、エミさんでさえも彼女と言葉を交わしている所を何度も見掛けた。このままやとこれから言葉を交わさぬままに彼女が退部してしまうんやないかって不安に駆られた俺が、勇気を出してみようと席を立った矢先の事やった。
「あっぶなっ！」
踏み台がガタついて彼女の体が宙を舞い落ちる前に、俺は彼女の体を抱きとめとった。
ほんまはもっと声掛ける方がええんやろうけど、俺の頭ん中はこの手に残る彼女の感触、香り、至近距離で見た表情に支配されとって使いもんにならんかった。
せめてものと思ってさっき彼女が手を伸ばしとった漫画は彼女に渡した。
やっと彼女と目を合わせて会話が出来た。
感情を表情に出さへんようにするのが得意で良かった。
でないときっと、この煩い心臓の音も彼女にバレてまう。
なけなしの勇気を振り絞ってそういうのが好きなんやなって言うと明らかに動揺する素振りを見せた彼女。多分こっちが素なんやろうな。全校集会の時とかはキャラ作ってるんやろうなってのは薄々気付いとったけど。
「、、、こーゆーの好きって、誰にもゆーてないん？」
『言える訳無いじゃないですか、、、』
「なんで？」
『、、、キャラじゃないんですもん』
もん、、、東條 Aが"もん"、、、
「ふーん」
『興味無さ気ですね？』
そんな訳あるかいや。興味無いどころか興味津々やわ。
「なぁ」
『なんですか？』
「シッマって呼んでや。あと、敬語も要らん。堅苦しいの嫌いやねん。」
無愛想になってしまう俺を許してくれ。
これでも十年分の寿命を賭けたぐらいには緊張しとるんや。
『え、でも』
「敬語使ったらこの事言いふらしてまうかもな？」
『う"っ、、、分かり、分かったわ』
そんな事絶対せーへんけどな。彼女の魅力という甘美な情報を
『シッマ君は、本が好きなん？』
「、、、好きやで」
アンタの事もな。
、、、てかシッマ君って何めっちゃ可愛いんやけど。
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黒翠(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！この作品に出会って下さったということに、感謝の気持ちで胸いっぱいです。お優しいコメントをありがとうございます！ (2023年3月14日 0時) (
レス) @page40 id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - コメント失礼します。この小説面白いです。黒翠さん、素敵な作品をありがとうございます (2023年3月13日 21時) (レス) @page39 id: e066df4934 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - リリィさん» コメントありがとうございます！嬉しい限りです！そのお言葉で更新頑張れますありがとうございます！！ (2022年2月22日 0時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - とても面白くて続きが楽しみです！ (2022年2月21日 21時) (レス) @page6 id: 74ae9aa626 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - 露助さん» いえいえそんな！いつもコメントありがとうございます！頑張れます〜！(書いてる私自身も思ってます^^;) (2022年2月16日 22時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒翠 | 作成日時：2022年2月8日 0時
