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何にも決まっていないのに
呼び鈴を鳴らしちゃったから
店員さんにオススメされるまま
ラーメンがシメに選ばれて
「食べないの？」
「んー…もうちょっと冷ます」
「伸びちゃいそう」
「せや、これラーメンやん」
美味しさについ箸をすすめれば
どんどん膨らんでいくお腹は
あっさり八分目を越して
そんなことにはおかまいなしに
喉は水気を求めるから
チビチビとお茶に手をつける
「Aちゃん電車？」
「うん。平野くんは？」
「だーかーらぁー…」
ジトっと細まる眼に睨まれれば
さすがに察しはつくけれど
「なんで平野くんじゃダメなの？」
「ダメとは言わへんけど、」
言ってるよ、なんてセリフは
まだ口にできるはずもなく
「そういう主義、的な？」
なんじゃそりゃ、とも言えないわけで
へぇ、と無難に打つ相づち
「Aちゃんは？」
「え？」
「なんで紫耀って呼んでくれへんの？」
「なんでって……」
そんなふうに聞かれても
なんとなく、って感じだし
「慣れない、から？」
適当な答えしか出なくて
「じゃあ、慣れてよ」
クイと端を持ち上げた唇から
余裕げに放たれた声に
緩みかけた鼓動が跳ねる
やり場のない目と手を伸ばすけど
頼りの湯呑みは空っぽで
泳ぐ視線を隠す瞼さえ
瞬く数で意味を成さない
仕方なしに弄ぶ湯呑みは
熱もすっかり冷め切って
行こっか、と軽く置かれた声にも
まともな音を出せない喉
顔も上げずに頷いて
「待って、いくらだっけ？」
ひょいと持ち上げられた伝票に
慌ててバッグを探るけど
「ええよ、俺払うから」
やけに素早い動きに負けて
あっというまにレジの外
「ごめん、払うよ」
「やだ」
「やだ、って……」
イタズラっぽく両目を細めて
楽しげに口を開くけど
そんなこと、言われても
「これも主義やから」
「主義？」
「宵越しの金は持たねぇ、みたいな？」
……いやいやいや
「ダメでしょ、それ」
「ははっ、そっか」
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ふとん(プロフ) - はるかさん» はるかさん、ありがとうございます！ようやく折り返しと言えるところまできました…最後まで頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです！ (2017年9月21日 23時) (
レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ここにきてこんなに切ない展開ってさすがです…続きがすごく気になります！！ (2017年9月20日 2時) (レス) id: 66715550c8 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - つかささん» つかささん、ありがとうございます！最後まで自分の思い描いた世界を表現できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2017年8月31日 9時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - この作品を読んでいるとすごく不思議な感覚になります。更新楽しみにしてます。 (2017年8月28日 10時) (レス) id: ad87999c23 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 紫耀ちゃんが、いつ出てくるか楽しみです！ (2016年12月19日 8時) (レス) id: a7ce410caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふとん
| 作成日時：2016年12月18日 21時
