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2時前になればやっとの事で
待ちわびた休憩が入る






1時間後はおやつどき

きっと凄く混むんだろうな







ふぅ、と小さく息を吐きながら
バックヤードの椅子に腰掛け

ぶらぶらと足首を揺らす









3日間という特別感が
気力をもたせてくれるけど






……初日の前半で、これか







ずらりと並んだサンドウィッチに
控えめにかぷり噛み付いて


こぼれかけた息を飲み込めば







「お疲れ様」


「お疲れ様です」







緩い会釈に揺れる髪




ほんの一瞬だけ目が合って
それだけでまた背筋が伸びる








「これ食べてええの?」



「らしいです」



「あ、タメでええよ」







サラリと落とされたそんな台詞に
勝手に硬直していれば






「堅苦しいの、苦手やねん」





肩をすくめて笑う瞳の、
イタズラっぽい色にぐらり









タイミングとか


距離感だとか








そんなものは全部飛ばして
ストンと隣に座るから



鼓動が低く音を上げる









…困るんだってば、そういうの









一目惚れ、なんてバカみたいな言葉が
何度も脳裏にチラついて


誤魔化すように飲んだ紅茶






ついでに深く息を吸う







いただきまーす、と腕が伸ばされ
触れないように避けるけれど



避けなくても触れはしないのだろう






サンドウィッチを詰め込んだ頬は
しぼむ前にまた膨らんで





「んまい」





さらに大きくまたぷくり






横顔を盗んでばかりいれば
手元が動くはずもなく





「食べへんの?」






ごくり大きく揺れたその喉に
また釘付けになってしまう







あぁ、もう





ダメなんだってば






同じ時間を過ごしていくうちに
だんだん惹かれていくような、


そういう恋がしたいのに








「Aちゃん、やんな?」


「え?」


「履歴書、そこに置いてあったから」







見ちゃった、なんてペロリ出した舌に
騒ぐ胸に気付いてしまう







「初バイト?」


「あ、はい」


「んー、堅い」







ほら


またそうやって







「まぁ急に言われても困るか」






瞳を細めてみせるから






「…ううん、大丈夫」






涙ボクロなんて見つけちゃって

絞り出した声が掠れる

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ふとん(プロフ) - はるかさん» はるかさん、ありがとうございます!ようやく折り返しと言えるところまできました…最後まで頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです! (2017年9月21日 23時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ここにきてこんなに切ない展開ってさすがです…続きがすごく気になります!! (2017年9月20日 2時) (レス) id: 66715550c8 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - つかささん» つかささん、ありがとうございます!最後まで自分の思い描いた世界を表現できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2017年8月31日 9時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - この作品を読んでいるとすごく不思議な感覚になります。更新楽しみにしてます。 (2017年8月28日 10時) (レス) id: ad87999c23 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 紫耀ちゃんが、いつ出てくるか楽しみです! (2016年12月19日 8時) (レス) id: a7ce410caa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふとん | 作成日時:2016年12月18日 21時

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