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「スタンプ可愛いですよね。ワンちゃんの」





向かい合い座るテーブルは





「あ、これ?」





まだ冷たい水を置くだけ



ヒョイと画面を差し出す志保さんは
そのスタンプを1つ押して





「なんかね、優太に似てるなーって」

「ふふ、やっぱり」

「え、バレてた?」





上がる顔はもう赤くって
揺れるピアスの根も火照り気味





「もしかしたらそうかなぁって」

「うわぁ恥ずかし……」





志保さんはお酒に強かったけど
今は負けじと赤いから

やっぱり、似た者同士かも





「あっつ、」

「お揃いですね、この前の岸くんと」

「もぉー、本題!平野くん!」






ほら!と無理に引き締めた口は
まだ少しだけ線が緩くて






「何かあった?あの帰りに」







それでもどうにか進む会話に
記憶へ意識を巡らせて

あれやこれやと言葉を繋いで





「そしたら、見せたげるって履歴開いて。あ、電話の」







行ったり来たりを繰り返しながら
ひとつずつそれを辿ってく









「その履歴にある番号全部、着信拒否にしたんです」

「着信拒否?」

「そういう主義なのって。結局なんにも聞けなくて」








グラスに手をつけて喉を鳴らせば

ひとつの瞬きと溜め息








「でた、そういう主義」







ちょっと眉をひそめてみせたあと

それってさ?、と挙がった声は
一度大きく息を吸って








「同じ番号じゃなくて、」








組んだ手の上へと
顎を置くと








「同じ人がダメなんじゃない?」








少し近くなる目を細める








「……同じ人?」


「うん。着信拒否ってことはさ、その番号の相手からの電話がイヤってことでしょ?」









運ばれてきたフルーツタルトに
ちょっと休憩、と手を付け出せば

おいし、なんて被った声





あっという間に平らげた挙句

ドリンクのおかわりもしちゃって
女子会だ、と肩をすくめる








「優太がさ、最初に声掛けた時。なんで反応なかったのかなって思って」





それで考えてみたんだけど、と
フルーツティーを流し込むと








「知り合いがいない設定なのかなって」

「設定?」



「なんて言うんだろ。あの人だけの、あの人なりの世界があるっていうか」








なんか違うなー、と唸りながら
背もたれに身体を預けて








「会う人みんな、初めましてがいい……みたいな?」








上げられた視線が線を引く

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ふとん(プロフ) - はるかさん» はるかさん、ありがとうございます!ようやく折り返しと言えるところまできました…最後まで頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです! (2017年9月21日 23時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ここにきてこんなに切ない展開ってさすがです…続きがすごく気になります!! (2017年9月20日 2時) (レス) id: 66715550c8 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - つかささん» つかささん、ありがとうございます!最後まで自分の思い描いた世界を表現できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2017年8月31日 9時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - この作品を読んでいるとすごく不思議な感覚になります。更新楽しみにしてます。 (2017年8月28日 10時) (レス) id: ad87999c23 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 紫耀ちゃんが、いつ出てくるか楽しみです! (2016年12月19日 8時) (レス) id: a7ce410caa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふとん | 作成日時:2016年12月18日 21時

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