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通された4人がけの席
私の真ん前には岸くんで
その隣に座る志保さん
……違和感しかない
メニューを眺めるヒマもなく
岸くんがスラリ手を上げて
「味噌2つと、味噌チャーシューの大盛り1つで」
勝手に告げてまたドヤ顔
「たまにはいいっしょ?」
「また優太は……」
「まぁ食えなきゃ俺が食うから!」
ダメだこりゃ、と肩をすくめて
首を傾げた志保さんと
パチリ視線が打つかるのに
「んじゃ、自己紹介でもしとく?」
言葉が交わされるよりも先に
岸くんが張り切り出すから
今度は私が肩をすくめれば
志保さんのピアスが揺らめいて
まだ
なんとなく、だけど
居心地は悪くないような
「昨日さ、おまえのバイト先行ったじゃん?」
「うん」
「あの後からコイツさ、もっと話せばよかったー!ってしつこいの」
「なっ、しつこくなんて……」
大袈裟な、とむくれる志保さんは
ちょっぴりおどけてみせるけど
チラリ覗く耳が赤くて
それを見て緩む背中のスジは
少し硬いイスへと当たる
かしこまって自己紹介をすれば
私たちの2コ上だというから
つい2度3度と瞬いて
どうりで大人っぽいワケだ
「あ、でも全然タメでいいから!」
「そうそう、俺もタメだし」
「でも敬語のがラクなら、それでも全然」
「んー…じゃあ、敬語で」
「おー、なんかおまえらしいわ」
「味噌ラーメンお待たせしましたーっ」
飛び入る声で止まる言葉
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飲み込んだ息が
脈を打つ
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思うより先に上がる視線は
その横顔を捕らえるのに
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「熱いので気をつけてお召し上がりくださーい」
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釘付けられた私の瞳は
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ただ
瞬きを繰り返して
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「紫耀?」
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岸くんが放つ彼の名前に
やっと
映すものを変えた
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ふとん(プロフ) - はるかさん» はるかさん、ありがとうございます!ようやく折り返しと言えるところまできました…最後まで頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです! (2017年9月21日 23時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ここにきてこんなに切ない展開ってさすがです…続きがすごく気になります!! (2017年9月20日 2時) (レス) id: 66715550c8 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - つかささん» つかささん、ありがとうございます!最後まで自分の思い描いた世界を表現できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2017年8月31日 9時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - この作品を読んでいるとすごく不思議な感覚になります。更新楽しみにしてます。 (2017年8月28日 10時) (レス) id: ad87999c23 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 紫耀ちゃんが、いつ出てくるか楽しみです! (2016年12月19日 8時) (レス) id: a7ce410caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふとん | 作成日時:2016年12月18日 21時