明日も君と、恋をしよう

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ちょっとダルさの残る足首を
何度かクルクルと回して

しっかり背中を逸らした後で
エプロンをきゅっと巻きつけて






「お願いします」





昨日と同じかな、と思いながら

とりあえず指示を受け取るために
店長のもとへと急げば



出された予想通りの仕事に
少し余裕が生まれるけど





「今日明日は大変だろうけど、頑張ってね」


「そうなんですか？」





思わず浮かんだ疑問符に
店長がパチリ瞬いて





「あれ、言ってなかったけか」






申し訳なさそうなその目元に

なんとなく騒ぐ喉の奥






「平野くん、昨日だけだからさ」


「……え？」


「3日間いてもらいたかったんだけどねー」






そうなんですか、と返す言葉が
少し軋んだような気がして





「だからちょっと大変だと思うけど、よろしくね」


「…はい、頑張ります」





引き上げた口角と声色は

ぎこちなさがまた残るだけ








隠した動揺を抱えたままで
奥のシンクへと進めば

背中は壁へもたれ込んで







……聞いてないよ、平野くん







おこうとしていたはずの距離なんて





一瞬で

消えてしまった









ぼんやり突っ立っていたところで
仕事はどんどんくるわけで


くしゃりと握り込んだスポンジを
グラスの中へと押し入れる





勢いで飛ぶ小さな泡





まくった袖へと乗っかるけれど
目もくれずに洗い続けて



次から次へと手を動かせば

一瞬止まるオレンジ色






お皿にべったり付いたソースは
いくら擦っても取れなくて








ナポリタンを落とすコツだって



まだ

教えてくれてないじゃない








やけに詰まる喉を軽く鳴らし
ごしごしゴシゴシ擦り続ければ


なんだか頭も回りだす








あんな適当な人なんて

気にするだけ時間の無駄だ





そういえば


気づけばすんなり懐の中に
入り込まれてる感じとか

絶対軽いし、怪しいし







彼女の1人や2人くらい



いや

もしかすると5、6人




そのくらいいても不思議じゃない









……なんて








いくら嫌な像を作り出しても
息苦しさが消えないのは









わざと下から見上げる瞳も


Aちゃん、と覗く声も









それから


不意に近くなる言葉も









好きになりかけていたからだ





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