明日も君と、恋をしよう

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「連休中の混雑が見込まれる為
. 臨時スタッフを募集します、だってさ」



「へぇ…」








上下に文字を揺らす岸くんが
どうよ、と覗き込んでくるから


とりあえず


いいね、と応えれば









「URL送ろっか？」


「あー…、じゃあ一応」








タタンと指が動いたあと
目線がちくり、当てられて








「Aちゃーん？」


「え、なにその呼び方」








ちょいちょいと動く指先は

届いたURLを開くようにと
指示をしているつもりらしい









クイと引き上げられる口角
唇は軽く尖らせて






…岸くんって、ドヤ顔多いよね









岩場に片足を乗っけて
これまたドヤ顔のアイコン


タッチすれば開かれるのは
岸くんとのトーク画面で






アンダーラインの引かれた羅列を
人差し指で触れたなら






「え？」







画面に浮かんだ私の名前と
”応募完了”の4文字








「応募、しちゃった」



「しちゃった、って…」








追えぬ思考がおうむ返し









しちゃった、って






しちゃった、か










…いやいやいやいや









しちゃった、のか









堂々巡りの回らぬ脳は
隣の声も拾い損ね




小突かれ気づく沙織の視線に
握る画面を傾ければ

わぉ、と楽しげに洩れる声




その様子にまた声が乗る








岸くんは視線に応えながら
笑みをたたえてしたり顔







「やるね、岸」


「だろ？」






見せつけるように吐いた溜息は
得意げな声に飛ばされて

覗く瞳に拾われて







「こうでもしなきゃ、やらなそうじゃん？」


「そんなこと」







…ある、か







「お、図星だ」


「そうかもねー…」


「えっ、待ってごめん！」







パタリ突っ伏す私を見て

早とちりしたらしい岸くんが
何度も謝り倒すから







ちょっとだけ、仕返し







ちょっぴり肩を震わせてみると
焦った声が落ちてくる


もちろん、あくまで泣いたフリ






沙織が調子を合わせてくれば
笑っちゃうからまた揺れて







やべぇ、なんてポツリ降るから
さすがに申し訳なくって







「ごめ、冗談」


「ぅえ！？」






見開いた眼に映る安堵

マジ焦った、とぼやきながら
次は岸くんが突っ伏した

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