【刀剣乱舞】生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってきます。

＃三十八振り目 ページ40

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「この本丸で一番"これ"が進んでるのは、お察しの通り長谷部君と加州君。...それに次いで、多分、僕だ。君には知られたくなかったんだけど...」



＿＿＿やっぱり君には、隠し事は出来ないね。


...そう言う光忠は、さっきと同じ、微笑を浮かべていた。

哀しいくらいに、優し気な顔。
他の三振りも、苦しそうにその表情を歪ませていた。


風の噂で、聞いたことがある。

時間遡行軍の正体は、闇堕ちした刀剣男士たちの成れの果てであると。


原因は様々。

元の主を救おうとしたため、歴史を改変してしまった。

人間を、手にかけた。

仲間を折られた恨みから＿＿＿。


数えきれない要因の中に、きっと、審神者からの暴力、なんてものも含まれているのだろう。

遠征はしていなかったように思える。
なら、この中傷は＿＿＿、


ふと、頭で何かが閃く。

それは私の中で、問いから答えに変わり、完全な確信となった。


試してみる、価値はある。




『...光忠、ちょっとじっとしてて』

「......？」

『私に出来る事。...やってみてダメだったら、ゴメン』

「まっ、まさかA様＿＿＿！？」




こんのすけが慌てたような素振りを見せた理由は不明だが、
...それで止まる私ではない。


私には、はっきりと見えていた。


光忠の目に宿る、黒い"何か"が。

...触れられる気がする。
実体はないらしいが、何となく、そんな気がする。


こちらの集中力に比例するように、黒い何かは私に怯えたように宙に出てきた。


＿＿＿掴めるか。

恐る恐る、手を延ばし＿＿、




『うっ...わぁ...』




ぐにょん...、というような。
そんな感覚が、肌を通して伝わってきた。

黒い何かは、私の中で必死にもがいている。

今すぐ光忠の中に戻りたい、この手を離さなければお前を襲う。

そんな意思のようなモノも、微かに伝わってきたが。




『なぁにが「襲う」だ...。本丸のおかんに、手ぇ、出しやがって！』

「うわっ...！」




ぶちっ...。

怒りに任せて、光忠と繋がっていた尾のような部分を、引き千切った。


...ほんの数秒、それは震えて。


＿＿＿そして。



『「...消えた......」』



シュゥゥゥ...、と、砂のように風に乗り、消えてしまった。


.........。


...ん？




『光忠...、今、どんな感じ？』

「君が何かを掴んで千切ったような動作をした瞬間、何かが僕の中から出てった気がしたよ...。感触はその、...凄い、気持ち悪かったけど」




光忠の、そんな呆けたような言葉。

反射で周りの三振りも見渡してみたけど、...みんなポカンとしていた。




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