【刀剣乱舞】生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってきます。

＃十二振り目 ページ14

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霊力。
神域や本丸において、必要不可欠な審神者の力だ。

本丸の刀剣男士の強さは、主である審神者の霊力にこれでもかというほど比例する。

母さんは、他の本丸の審神者と比べて途方もなく霊力が強かったので＿＿＿＿、
どうやらその遺伝子は、私にもしっかりと受け継がれているらしい。
(というのは、小さい頃にこんのすけから聞いた受け売りだ。)




『まぁ...。一応、感覚は覚えてるけど』

「審神者の娘である貴女ならば、この神域ではほとんどの事を己の霊力で済ますことが出来るのを、ご存知ですか？」

『...ご存知ではなかったけど、...何となく、分かる気がする』





一説には、いつどこから現れるか分からない時間遡行軍から、身を守る為。

また一説には、刀剣男士という一種の神を使役する立場として授けられる能力として。


審神者の霊力は、神域に限って"具現化させることが出来る"のだ。

例外は、一切ない。
ベテランの審神者ともなれば、魔法のように霊力を使いこなせるようになるらしいが...。


...つたないというか、頼りないというか。

そんな私の返答でも、こんのすけは安心したように尻尾を振った。





「ならば、もしも"万が一"の事がありましても心配はいらぬ、ということですね！」

『...そういうことに、なるのかなぁ......』





万が一......。
油断は、していなかったつもりだった。


こんのすけの言う、「万が一」を。
このすぐ後に実体験することになる、というのは...。



さすがに、私でもキツかったが。







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伸び放題の雑草をかき分け、奥へ奥へと進んでいく。

この雑草だって、まだ生き生きとした緑色だったら可愛げがあっただろう。
カサカサに乾燥してしまった枯れ草なのだから、痛々しいことこの上ない。




「A様ー！遅うございますよー！」




ピョンピョン飛び跳ねて、さっさと走って行こうとするこんのすけを、あらん限り睨む。

狐は体が小さいからいいよな...。
無駄に大きい人間の身にもなれやコノヤロ...。(私は高校でも身長が高い方だった。)


......と。

どうやら今のかき分けで、最後だったらしい。
唐突に、草むらが開けた。

＿＿＿そのさらに奥に、仰々しく佇んでいたのは。





『やっと着いた...。本丸...！』




乾いた風が、ひゅお、と頬を叩いた。

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