447話 ページ48
「明日、こいつの予防接種に行って来る」
『え?明日は午後から久しぶりのオフだったじゃん』
「だからだよ。見たところ野良だから、病気を持っていたら困るし」
『せっかくゆっくり出来ると思ったのに』
「だったら一緒に来ればいいだろ。そのまま散歩がてらどこかに行くか?」
そう提案してくれる零さんだったが、鋭い視線を感じてそちらを見ると、犬が不機嫌そうに俺を睨んでいる。
こいつ…、俺に懐いていないどころか嫌ってやがるな…。
『いい。俺は家でゆっくりしてるから』
「…なに怒ってるんだ」
『怒ってないし』
ふいっと顔を逸らしてガスの火を止める。
カレーはいい感じに出来上がった。
そのタイミングでスマホが着信を知らせた。
コナンだろう。
『先に食べてて』
それだけ言って、スマホの通話をオンにするとソファにドカリと座る。
ここで話しちゃまずい話なら、あとで廊下にでも移動しよう。
『もしもし?』
《Aさん、さっきの話の続きなんだけど…》
『うん。いいよ。どうしたの?』
《…なんか機嫌悪いのか?》
『は?別に…。…問題ないよ』
声だけで感情を悟られるなんて、不覚だ。
《そうか?…それで、聞きたいことがあったんだ。赤井さんから聞いたんだけど、組織にまた、新しいコードネーム持ちが現れたらしい》
『新しい…?』
チラッと零さんを見やる。
彼はカレーを盛り付けつつ、こちらの様子を窺っている。
《ああ。コードネームは“ティフィン”。何か知らないかと思って》
“ティフィン”…。
ドイツ産の紅茶のリキュール。
だがコードネームとしては聞いたことがない。
そもそも俺はここに来た時点で、ジンとウォッカとベルモットしか知らなかったんだから。
『さぁ?聞いたことないな』
《安室さんは何か言ってなかった?》
『いいや。そっちの話はあまりしないし。それで、そいつがどうしたの?』
《それが、結構なやり手らしくて。どうやら日本にいるらしいんだ。その姿もまだ把握できてないらしいけど…》
『気をつけろって忠告?確かに俺は元公安として組織の行いを許せるわけじゃないけど、何かするつもりはないよ』
組織に大きく関わることは、物語を大きく歪めることになりかねない。
《わかってるよ…。…もし安室さんから何か聞けたら教えてくれ。じゃあな》
一方的に電話が切れた。
ティフィン…か。
ああ、またこの嫌な予感だ。
・
1079人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時