445話 ページ46
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今日は早く帰れると言っていた零さんをもてなすため、一日家の掃除をして、洗濯をして家事に勤めた。
『降ってきた…』
夕方から雨になると天気予報で言っていたが、その通りになった。
零さん、傘持って行ってたかな…。
まぁ、天気予報ちゃんと見てるだろうし、大丈夫だと思うけど…急にびしょ濡れで帰ってくることも多いからなぁ…。
窓越しにそんなことを考えていると、スマホが着信を知らせた。
『…コナン?』
また何か事件だろうか…と思いつつも通話ボタンを押した。
『もしもし?』
《あ、Aさん?今大丈夫?》
少し猫を被った声だ。
周りに誰かいるんだろう。
『大丈夫だけど、どうかした?』
《それが――》
《黒瀬の兄ちゃん!トロピカルランドに連れてってくれよ!》
コナンを遮り、元太の声が聞こえてきた。
『……トロピカルランド?』
この世界ではメジャーな遊園地だ。
この物語の始まりの場所とも言っていいだろう。
《あー…明後日、博士に連れて行ってもらえる予定だったんだけど、博士が急な用事が出来ちまってよ…》
『ははーん?また足になって欲しいと?』
《チケットはもう買ってしまったんです!》
《お願い、Aお兄さん!》
光彦と歩美の声まで聞こえてきた。
『…沖矢さんは?』
《沖矢さんも用事があって難しいって。そのことで、また後で話があるんだけど…》
…赤井さんが用事?
組織がらみで何かあったのだろうか。
『……わかったよ。でも、車は?俺バイクしかないけど』
《博士がレンタカーを手配してくれるって言ってる。メンバーは俺たちと、灰原もだ》
へぇ、珍しい。
《じゃあ、明後日の10時、博士の家に来てくれ。また夜に連絡する》
『はいよ。じゃあね』
通話をきって、溜息をひとつ。
また何か事件に巻き込まれるんだろうなぁ…。
スマホをソファに投げ置いて、俺はキッチンに立つ。
カレーでも作ろうかな…と零さんが作ってくれたレシピのメモからカレーのページを開く。
野菜を切って炒めて煮込む。
ぐつぐつと鍋をかき混ぜていると、鍵の回る音がした。
『おかえり』
帰ってきた零さんを振り返って、苦笑する。
『…やっぱりね』
その腕には傷と泥だらけの犬が抱かれていた。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時