430話 ゼロの執行人 ページ31
「羽場!どこだ!?」
屋上で日下部が叫ぶが、羽場の姿はそこにはない。
「どういうことだ…」
「彼はここにはいない」
「だ、だが、携帯では確かに…」
『貴方が見ていたのは、合成映像です』
そう告げると、日下部は驚きで目を丸くした。
『ドローンで撮影した映像を使って、あたかも警視庁のヘリポートにいるように合成させたんです。羽場さんは今、安全な場所にいます』
「…そうか」
安心したように表情を緩める日下部。
「…安室さん、軌道修正出来てないとしたら、落下位置はやっぱり…」
今はそっちのほうが重要だ。
「ああ。4メートルを超えるカプセルが、秒速10キロ以上のスピードでここに落ちてくる」
そんなことになったら、俺たちは間違いなく死ぬ。
この窮地を、この名探偵はどうやって乗り越えようというのか。
「安室さんなら、今すぐ爆薬を手に入れられる?」
『…耐熱カプセルを破壊する気?』
そんなことをしたら、長い時間をかけて火星から採取したサンプルもなくなってしまう。
零さんの立場だって、危うくなる。
だが、コナンの考えは、俺の予想の上をいっていた。
「いや…。太平洋まで軌道を変えられるだけの爆薬だよ」
その言葉で彼がしようとしていることを察し、俺と零さんは目を合わせて、それから微かに眉を下げて笑う。
「なんてこと考えるんだ」
『ほんと、末恐ろしいね』
「他に方法ある?」
確かにコナンの言うとおり、今はその方法に賭けるしかない。
零さんはすぐにイヤフォンを耳に押し込み、風見さんに連絡をとった。
「風見、至急動いてくれ。…ああ、公安お得意の、違法作業だ」
コナンも、すぐに博士に連絡をとった。
博士のドローンを使って爆薬を運ばせ、落ちてきたカプセルにぶつける。
その爆発の威力によって、カプセルの軌道を太平洋まで変える。
少しの誤差が、命取りだ。
本当にこんなこと、上手くいくのか。
不安ではあるが、きっと大丈夫なんだろう。
この2人が一緒なら、乗り越えてくれるはずだ。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時