403話 ゼロの執行人 ページ4
「ちょっと、なんで警察が起訴に口出すの?警察は検察に監督される立場のはず。何より起訴は、検察官の独占的権限で……あっ」
そこまで言って、妃さんは思い出したようだ。
公安部だけは、事情が異なるのだ。
「ええ、仰るとおりです。ただ、それは検察の民事部や刑事部、それに特捜部の場合です。公安部については、少し事情が異なるのは先生もご承知のはず」
橘弁護士はそこまで言って、きょとんとする蘭とコナンに気づき、補足の説明を始めた。
ひと口に公安部といっても、警視庁、検察庁、そして俺や零さんが所属している警察庁がある。
俺の場合は“所属していた”、だが。
「警察は捜査した結果を検察に送るけど、検察はそれを受けて改めて事件を調べるのね。容疑者を起訴するかどうかは、この検察の調べを踏まえて検察官が判断するのが普通です」
橘弁護士は話しながら窓際によって、外を眺める。
「でも、検察の公安部だけは違う。はっきり言って、検察の公安は警察の公安に歯が立たないんです。捜査員の人数やノウハウに雲泥の差がありますからね。だから起訴にも、公安的配慮が働くときがある」
【公安的配慮】…。
キャリアが多く優秀な人材が集まる警察庁は、もちろんそれだけで権限が高く、圧力もある。
俺より上の代になると頭の固い連中も多いものだ。
それ故、警視庁や検察庁の人達に裏では恨まれたり、毛嫌いされてることもよくあった。
「特に、サミット会場の爆発なんて、公安警察の顔に泥を塗ったも同じ。必ず起訴しろという圧力が容易に想像できます」
零さん以外は、きっとそう思っているだろうな。
「それじゃあ、お父さんは…」
「ええ。きっと起訴されます」
「そんな…」
彼女はまるで、起訴を望んでいるかのようだ。
コナンも同じことを考えているんだろう。
橘弁護士を見る目が鋭い。
起訴を望んでいるなら、一体何のために毛利さんの弁護士になったのだろうか。
何か目的があるのか…?
・
1079人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時