【名探偵コナン】異世界の訪問者9《男主》

421話 ゼロの執行人 ページ22

「チッ…！」

零さんは舌打ちをして、ハンドルを切る。


『IOTテロ…!?』


やはり始まってしまった。



「A！シートベルト、しっかり締めておけ！」

『うん…！』


ぎゅっとベルトを握りこむ。



車が次々とぶつかり、吹っ飛ぶ光景に驚愕した。


目の前を走っていたコナンが、トラックの下に潜り込んで直撃を免れる。


そこら中に、横転した車が転がっていた。
その間を猛スピードで走り、先を急ぐ。


次々と車がぶつかってきそうになるが、さすがのハンドルさばきで零さんはそれを避けていた。



しかし……。



『コナンくん…っ！』


少し先を走っていたコナンの頭上に、高速道路から落ちてきた乗用車が襲い掛かる。


あれじゃよけきれない…！と思ったとき、零さんが思い切りアクセルを踏んだ。



『ぅわ…っ!?』


突然物凄いスピードを出した零さんの車は、縁石ブロックを乗り上げ宙に浮いた。



ズガァァァンッと物凄い音が響いて体に衝撃が走る。


コナンの頭上に落ちてきた乗用車に、零さんの愛車が激突したのが、スローモーションで見えた。



『っう…！』


浮遊感とその後すぐにガンッという着地の振動に、バクバクと心臓の鼓動が速まる。



「安室さん！Aさん！」


コナンは無事らしく、遠くから声が聞こえた。


車もなんとか動くようで、零さんはバックをするとすぐに車線に戻った。

だが衝撃でフロントガラスにはヒビが入っており、前が見づらい。


零さんは、自分の拳でヒビの入ったフロントガラスを3回殴りつけ、粉砕した。



「行け!!」


零さんがコナンに向かって叫ぶ。


コナンは頷くとすぐに走り出し、俺たちも車でその後を追った。




やっぱり日ごろ鍛えているだけあって、この人の拳はハンパないな…と、割れたフロントガラスを眺める。



「怪我はないか」

『うん、大丈夫…。零さんは？』

「問題ない。…もしかしたらこれから、最悪の事態が起こるかもしれない。それでも、最後までそばにいてくれるか？」



…今までなら、危ないから待ってろって傍にいることすら許されなかったのに…、こんな言葉を聞ける日が来るなんて。



『…もちろんだよ。俺は零さん専属の協力者で、大事な恋人だからね』

「…頼もしいな。一緒に守ろう。俺たちの愛する、この日本を」



前の世界では果たしきれなかったことだけど、二人でなら。



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