【名探偵コナン】異世界の訪問者9《男主》

418話 ゼロの執行人 ページ19

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夕方になると雨はすっかり止み、妃法律事務所から程近い路地裏で、俺たちはコナンを監視していた。


数時間前、統括検事である岩井紗世子がIOTテロによるスマホの発火で火傷し、病院に搬送されたという。
岩井統括は、日下部検事の上司らしい。


事務所では先ほど、毛利さんの不起訴が決まったと白鳥警部が妃さんたちに報告し、その場にいた一同は歓喜の声を上げていた。



《ところでこれ、どうしましょう？羽場二三一を検察官が取り調べた調書なんですけど…》


その名が出たとき、零さんがわずかに反応したのが見て取れた。



『……風見さんが言ってた。安室透は人殺しだって。…でも、違うんでしょ？』

「風見のやつ…」

『…あのね、零さん。俺も同じことしたことあるから』


零さんはどうか知らないけれど、…偽装だけではなく、実際に殺したこともあるから…。
組織の、クロセとして。



「…あの方法に、僕は後悔はしていない。この国を守る、最善の選択だった」


強いな、この人は。
俺なんかより、ずっと。



《岩井検事は、妙なことに羽場二三一の窃盗事件がきっかけで出世したんです》


事務所にやってきたのだろう。
橘弁護士の声が画面の中から聞こえてきた。



《ところで、これは？なぜ私や、私の元事務員のことをお調べになっているんですか？》


どうやらコナンたちは、橘弁護士について調べていたらしい。

おそらく、コナンによる助言だろうが、その資料が彼女に見つかってしまったようだ。



《えっと…》

《ごめんなさい、先生のことをよく知っておきたくて、私が栗山さんにお願いしたの》


栗山さんというのは、おそらく妃さんの事務員の人なんだろう。
彼女を庇うように、妃さんが嘘をついた。



《…よく調べてある。貴女も優秀な事務員のようね》

《…貴女も？まるで羽場さんもそうだったって言ってるみたいだけど…、その人は窃盗事件を起こして境子先生の事務所を潰した、悪い事務員さんだよね？》


コナンがやや問い詰めるように言うと、微かにくしゃりと紙を握る音がした。



《あれは二三一のせいじゃない！》

橘弁護士の激昂が響く。


今の一言で、羽場と橘弁護士の間柄が、ただの弁護士とその事務員じゃないということに誰もが気づいた。



それを問い詰めるのは、やはりあの小さな探偵。



《下の名前で呼ぶんだね。自分の事務所で働いてた事務員さんを、“二三一”って》




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