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355話 ページ6

「一般人か?家は?」


近づいて俺を見下ろすバーボン。

警戒の篭った彼の目で見つめられるのは、久しぶりだ。



『…知らない男たちに急に後ろから殴られて…、気づいたら知らない場所にいて…ごほ、ごほっ…、なんとか逃げたけど、具合が悪くなって…』

「住所は?」

『…っ、やだ、家には帰りたくない…っ』


自分の体を抱きしめて、ぼろぼろと涙を流す。


俺の様子を見て、スコッチさんは呆気にとられた様子だ。




「…わけあり、ですか。面倒な拾い物をしたものですね」


どうやら、信じてくれたようだ。
この歳で家出青年を演じるのは無理があるかと思ったけど。



「チッ、俺は面倒みねぇぞ。てめぇらで勝手にやっとけ」


ライは、組織に馴染むための演技なのか?
それとも若いころはこういう気性だったのか?





「てわけなんだけど…俺が世話するから、少しの間置いてやってくれないか?バーボン」


スコッチとバーボンは少しの間互いを見つめる。



やがて折れたのはバーボンだった。




「…わかりました。ただし、少しでも怪しい素振りを見せたら、始末します。いいですね?」

『…はい……』

「それで、貴方、名前は?」

『え』

「なんて呼べばいいか分からないでしょう?僕はバーボン。あっちのうざったい長髪はライです」

『……マシロ、です』

「分かりました。マシロ、食欲は?」

『え』



思いがけない問いに、伏せていた視線を上げた。




「何か食べて薬を飲まないと、回復しないでしょう?お粥なら食べられますね?」


ああ、その優しさも、変わらないな。



初めて会ったときも、警戒しながらも俺にハムサンドを作ってくれた。



懐かしさに涙が出そうになるのを堪えて、俺は頷いた。


それを見て、彼はふいっとキッチンに向かい、料理を始めた。






「よかったな。バーボンの飯は美味いんだ。……知ってるかもしれないけどな」

『…ああ、よく知ってるよ』


小さな呟きに、俺は小さく返した。




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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時

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