380話 ケーキが溶けた! ページ31
「あれ?こんなところに冷蔵庫なんてあった?」
蘭はカウンターを挟んで目の前にある小さな四角い機械に気づいた。
その横では、電気ポットが蒸気を発している。
「あったよ?一ヶ月くらい前から」
そういえば、そこからケーキを取り出しているのを何度か見た気がする。
「ていうか、それケーキのストッカーよ」
「ああ、あのケーキの!」
「蘭姉ちゃん食べたの?」
「うん。とっても美味しいんだよ」
「Aさんも、そのケーキ目当てで今日ここに来たんですもんね」
にこっと安室さんが余計な横槍を入れてきた。
『…ええ、まあ』
「黒瀬さん、甘いもの好きですもんね!」
「何しろ安室さん特製のケーキだから!」
梓さんが、お湯の沸いたポットを片手に自慢げに話す。
シンクに少し流したお湯から湯気が立ち込める。
「あれ?電気ポット使ってるの?」
「ええ。ここの給湯器古くて、朝一番はなかなか熱湯にならないの。これだと、家出るときにスマホで操作すれば、ちょうど今頃お湯が沸くし」
「スマホでって、それIOT家電なんだ」
「IOT家電って…?」
使ってるのに分からないのか、梓さん…。
「インターネットに接続できる電化製品ですよ。その電気ポットみたいにね。さてと…Aさん、そろそろケーキ食べますか?」
『あ、はい。いただきます』
ちょうど小腹も空いてきたし、ちょうどいいか。
「はい。準備しますね」
安室さんがケーキストッカーの蓋を開ける。
「…まただ」
「きゃっ!」
安室さんの呟きの後、梓さんが小さな悲鳴を上げた。
「なんだ!?どうした!?」
毛利さんが何事かと持っていた新聞を下ろした。
その新聞の見出しに、“東京サミット”の文字が見えた。
その瞬間、ドクンと心臓が嫌な鼓動を刻み始める。
「そんな大きな声出さなくても」
安室さんの声に、ハッと我に返った。
新聞から顔を上げると、どろどろに生クリームが溶けたホールケーキが2つ、目に入った。
「だって…また、こんな……どうして…?昨夜作ったときは、なんでもなかったのに…」
「またって…初めてじゃないの?」
コナンの言葉に、2人は頷く。
ケーキをまじまじと見つめるコナンを、安室さんもじっと見つめていた。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時