372話 ページ23
「侮辱するのもいい加減にしろ!だいたい、お前の推理は机上の空論!証拠が何一つないだろ!」
「黒瀬くん、何か証拠が…?」
佐藤刑事も不安そうにこちらを見てくる。
『…証拠ならあります。これを』
俺はさっき拾った青色の破片をハンカチごと佐藤刑事に渡した。
「これは…?」
『凶器の一部です』
「凶器の…!?」
『はい。…笹川先生が首から下げている、ホイッスルの破片ですよ』
「なんだって!?」
突きつけた証拠に、笹川の顔色がサッと青ざめた。
「笹川先生、ホイッスルを見せていただけますか?」
高木刑事の申し出に、笹川は渋々首からホイッスルを渡した。
「あっ、欠けています!落ちていた破片と、形も一致しています…!」
『背後からホイッスルの付いた紐で首を絞められた糸井くんは苦しみもがいた。その痕にはロッカーにも残っています。ロッカーの痕は右手のものでした。そして左手は、首元へ。その際、ホイッスルを掴み、それが欠けてしまったんです。その紐をもっと詳しく調べれば、出てくると思いますよ。糸井くんの皮膚片が』
「くっ…そぉぉぉぉ!!」
『!』
逆上した笹川が立てかけられていたパイプ椅子を振り回して、俺に迫ってきた。
「黒瀬くん!」
佐藤刑事が焦ったように俺の名を呼ぶ。
『っ…!』
振り回されたパイプ椅子を右手首で受け止める。
一瞬痛みに顔を歪めるも、相手の足を掬った。
バランスを崩した笹川からパイプ椅子を取り上げ、体を反転させて地面に伏せさせる。
笹川の上に乗り上げ、右手首を捻り上げ取り押さえた。
『手錠!』
「は、はい!」
高木刑事が慌ててその手に手錠をかけた。
「18時48分、確保!」
手錠をかけられたことで、笹川は観念したようだ。
全ての罪を認めた。
緒川さんをストーカーし、手紙を送りつけていたことも。
俺の推理どおり、それを糸井に見つかったことも。
口封じのために彼を殺し、罪をなすりつけ自 殺に見せかけたことも。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時